AVIOT「TE-BD21f」は“前人未到”、完全ワイヤレスイヤホン屈指のサウンドを聴く

■ハイブリッドドライバーならではの、広がりある伸びやかなボーカル

それでは、肝心のサウンドを確認してみよう。TE-BD21fは、高域は凜とした伸びやかさを持ち、それでいて耳障りな鋭さはいっさい感じさせない。結果、オーケストラでは金管楽器が煌びやかな音色を聴かせつつも、存在を主張しすぎることなく、全体のバランスが見事に整っている。絶妙なバランスだ。ピアノも伸びやかな音色を聴かせてくれる。

それ以上に印象的なのが、女性ボーカルの艶やかで広がり感のある、美しい歌声だ。声がとても自然なのに、倍音のノリが良いのだろう、普段よりストレスのない、伸びやかな歌声に感じられる。このあたりはハイブリッド・トリプルドライバー構成による恩恵だ。

特に、しっかりとした厚みと自然な音色の歌声、それと音色的に違和感なくスムーズにつながる、クリアで伸びやかな高域の組み合わせは見事。専用開発したという良質なBA型を2基採用し、さらにダイナミック型とのクロスオーバーを徹底追求したことで実現できたサウンドだと思う。完全ワイヤレスイヤホンだと割り切らず、普通のイヤホンと変わらず高音質を求めた結果が、純然として音に表れている。

一方の低域は、量感こそやや多めだが、フォーカスが良いため演奏がよく見える。ハードロックを聴くとエレキベースの旋律がよく聴こえ、ノリの良い活き活きとした演奏を楽しませてくれる。また、チェロの演奏を聴くとボーイングに力強さを感じる。パワフルさと繊細さを併せ持つ、巧みなチューニングだ。

TE-BD21fは、完全ワイヤレスイヤホンならではのアドバンテージを持ちつつ、音質面ではワイヤードにも引けを取らない、良質なサウンドを実現している。完全ワイヤレスイヤホンが欲しいけれど音質に妥協したくない、という人にぜひオススメしたいモデルだ。