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完成度の高い「モダンクラシック」な外観も兼備

卓越したデザインに宿る、音楽に忠実なサウンド。MASTER & DYNAMICのNCヘッドホン「MW65」レビュー

公開日 2019/07/18 06:00 土方久明
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実際にMW65をじっくりと聴いて、音質や使用感をチェックした。装着してみると見た目以上に軽く、シープスキンのイヤーパッドも肌触りが良い。スライダーは無段階で調節でき、フィット感に優れている。ヘッドホンが頭を挟む圧力=“側圧”も適度で、高い遮音性を確保しつつ、締め付けが強く過ぎて圧迫感を感じるというようなことはない。ノイズキャンセリングヘッドホンは、イヤーパッド周りからの音の侵入を防ぐために側圧が強い傾向があるのだが、この適度な側圧は本機の良いところだ。

試聴には「iPhone X」とAndroidスマホ「GRANBEAT」、そしてAstell&Kernのポータブルプレーヤー「SE100」をそれぞれ組み合わせた。どの機器でもペアリングはスムーズに行え、接続も安定している。

しっかりとしたフィット感と適度な側圧で、遮音性はありながらも装着感は高い

まずはノイズキャンセリングをOFFにして、基本的な音質傾向を確かめる。トーンバランスは、フラットな中高域に、低域をほんの少し強めているという印象だ。解像感を強調するようなことはなく、高域が耳に刺さることもない。解像度や音調もソース音源に忠実という点ではモニターヘッドホンに近く、そこに若干の音楽性を持たせている。予想以上の本格志向サウンドだ。

Astell&Kernの「SE100」とはaptXで接続した。日本人女性ボーカリスト、hisakaのアルバム「Secret Longing」では、高域の音抜けが良く情報量も秀逸。アコースティックベースを始めとした中低域の表現力は音源に忠実で、音色はナチュラルだ。ピアノにも適度な艶があり、ボーカルの口元はコンパクトで声質も良好だ。

予想以上の本格志向サウンド

「iPhone X」とはSBCで接続して、Apple Musicからホセ・ジェイムス「リーン・オン・ミー」を聴く。イントロから始まるドラムとベースが立体的で、センター定位するボーカルの距離感は若干近めに感じたが、極めて自然な音場を持ち、低域表現が秀逸なのでリズム良く音楽に没頭できる。

最後はAndroidスマホ「GRANBEAT」とaptXで接続。Spotifyから、billboardのEDMチャートで上位につけるDJスネイクとセレーナ・ゴメスがコラボした「taki taki」を再生する。シンセサイザーが左右の空間に広がり、そこに音圧に頼らないアキュレイトな表現のエレクトリックドラムが融合する。本機の音源に忠実な表現力が、EDMらしいグルーヴも活き活きと再現してくれる。

外に持ち出してノイズキャンセリング性能を確認していこう。SE100と組み合わせて電車の中でホセ・ジェイムスを再生。当たり前だがOFFの状態だと、暗騒音が耳に入ってくるのでボリュームを大きくしないと音楽が明瞭に聴こえない。そこで、左側ハウジングにある小さな赤ボタンを押してノイズキャンセリングを有効化する。

Lowでは音楽再生の変化は最小に、外からの騒音が明らかに小さくなり、楽器のディティールが明瞭になる。Highにするとより大きなノイズ低減効果を実感でき、特に中高域の環境ノイズが大幅に抑制されるようだ。ハイブリットタイプを採用した本機のノイズ低減効果はとても大きいと実感した。

外に持ち出すヘッドホンとしてデザイン性は重要。MW65は機能性も兼備する優れたヘッドホンだ

実際に外に持ち出してみると、軽量かつコンパクトであることのメリットを改めて感じる。そして何より、MW65のデザインはファッションアイテムとしても機能してくれる。一方で、どんな服装にでも合わせられる普遍性を備えているから、着ける人を選ぶこともない。

なお、本機はGoogleアシスタント機能にも対応している。スマホのGoogle AssistantアプリとMW65をペアリングしておくと、右チャンネルのイヤーカップのボタンを押してGoogleアシスタントを利用することもできるし、再生や一時停止などの楽曲操作も可能だ。

左右のハウジングにそれぞれ、ボリューム上下、電源、ANCボタンなどを配置。直感的に操作しやすい



近年のワイヤレスヘッドホンでは、特にノイズキャンセリング機能が注目されている。ワイヤレス化してケーブルの煩わしさが無くなることで、外で使用する機会も増え、徐々に街中や電車の騒音が気になってくるからだろう。さらに身につけながら外に持ち出すという点で、デザインへの要求度も上がっている。

MW65は、今市場で求められるこれらの要素全てをバランスよく満たし、加えて解像感と音楽性を兼ね備えた高品位な音質も兼ね備えている。現在ワイヤレスヘッドホンの世界は活況で、沢山の製品が発売されているが、MW65は購入後の満足度はかなり高いはず。長期間相棒として使うことができる、完成度の高いヘッドホンと言える。

(土方久明)

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