HOME > レビュー > 高密度かつ華麗な音はこび。FOCAL「STELLIA」はハイエンド密閉型ヘッドホンの決定版だ!

付属品にまで統一された美しい世界観も特長

高密度かつ華麗な音はこび。FOCAL「STELLIA」はハイエンド密閉型ヘッドホンの決定版だ!

公開日 2019/06/28 06:00 岩井 喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

ドライバーユニットはUTOPIAと同じ、φ40mmピュアベリリウムM字型振動板を採用。ボビンのないフレームレス銅製ボイスコイルやフリーエッジ構造も引継いでいる。ドライバー自体はスピーカーのような自然な波面到達を意識し、耳介に沿ったアングルを設けて配置。リングマグネットにより振動板の背圧をハウジングへ逃がす構造はELEGIAと近く、その出口付近にEVAフォームを配置し高域を減衰させている。

内部にはφ40mmピュアベリリウムM字型振動板を採用。オープン型旗艦ヘッドホン「UTOPIA」から技術を継承している

また、ハウジング内部には定在波を分散させる音響ディフューザーを置き、干渉を防いだという。特徴的な意匠にも結び付けている、サイズの異なる無数の円を配置したハウジングデザインは当然のことながら音質にも直結する。アルミグリルの奥にはレザーを用い、EVAフォームと繋がったブランドロゴバッチはベントの役割も果たしている。そのため、密閉型ではあるもののわずかに音漏れは感じるが、オープン型ほどではない。

サイズの異なる無数の円を配置したアルミハウジング。内側にはレザーを用いている

着脱式ケーブルは取り回しの良いモバイル用途を意識した1.2m・ステレオミニプラグ仕様(6.3mm変換プラグ付き)と、3m・XLR/4ピン仕様のバランス駆動用の2本が付属。ELEGIA同様にインピーダンスも35Ωと低インピーダンス設計としており、DAP直挿しでの活用が可能である。

付属品には同じくブラウン系のカラーを用いたキャリングケースも

取っ手部分にはブランドが掲げる「LISTEN BEYOND」の文字が

実際にSTELLIAを装着してみると、重量感はあるものの、重心のバランスや強すぎない側圧、フルグレインレザーの質感の良さが相まって、非常に快適でおさまりが良い。遮音性に関しても、中高域のノイズ感を抑え、音楽に集中できるレベルまで高められているようだ。


立ち上がりと余韻のバランスが秀逸。抜けのいいナチュラルな空間性を備える

試聴はまずシングルエンド接続にて、JVCのヘッドホンアンプ「SU-AX01」とソニーのDAP「NW-WM1Z」を用いたポータブルシステムで確認した。オープン型ほどの広大な音場とは言わないものの、密閉型特有の閉塞感が抑えられ、ELEGIAよりもヌケ感の良いナチュラルな空間性を感じることができる。基本的にシームレスで刺激性のない流麗な音運びであり、スッキリと音場を描き出す。

付属の長さ1.2m・ステレオミニプラグ仕様のケーブルを使って、まずはポータブル環境を想定して試聴

肉付き良いボーカルは口元の動きの艶やかさと潤い感を自然にまとめ、温かみのある余韻感もほんのりと残し、耳なじみの良さを与えている。ホーンセクションは爽やかに鳴るが、温かみのあるボディの落ち着き感も同時に備えている。ウッドベースやキックドラムは滑らかな躍動感を備え、ピアノやシンバルの響きはアタックの粒立ちや余韻を丁寧に描き、品位が高い。

オーケストラの旋律は立ち上がりと余韻のバランスが取れ、流麗なハーモニーを艶良く鮮やかに引き出す。ローエンドの押し出しは制動良く逞しい。音場は広く、ウォームなホールトーンの優しい響きが心地よい。11.2MHz DSD音源のボーカルも重心の下がった安定傾向、リヴァーブとの描き分けも自然で、ウェットな余韻を味わえた。こちらのピアノは低域から高域まで素直な音伸びで、引き締め良いアタックと澄んだ余韻が全体の解像度の高さに繋がっている。

次ページラックスマン「DA-06」+「P-750u」で据え置き環境でも試聴チェック

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE