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最大32chのマルチチャンネル処理にも対応

1チップで音声操作もアトモスも。クアルコムのSoC「QCS400シリーズ」が可能にするAVの未来を予測

2019/06/25 鴻池賢三
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製品予測 その4:SpotifyやApple Musicが2chアンプを作る時代が来る?!

今までアンプと言えばオーディオメーカーが企画開発を行うのが常識。しかし、ネットワーク再生機能がほぼ必須となっている近年、QCS400シリーズやDDFAを利用すれば、老舗オーディオメーカーでなくとも、一定水準の音質性能と多彩なネットワーク機能搭載製品を作ることができる。DDFAを採用したSonosのプリメインアンプ「Sonos Amp」は、その先駆けといって良いだろう。

そうなると、SpotifyやApple Music、Google Play Music、Deezerといった大手配信サービスを手掛ける会社が、既存のオーディオの枠に捕らわれないそれぞれの視点でライフスタイルに合った製品を企画するという未来が来たら面白いのではないか。ユーザー囲い込み戦略のひとつとしても機能しそうだし、非現実的な話ではない。映像配信の世界では既にApple TVやAmazon FireTV Stickなどが存在するのだから。


QCS400シリーズはAV機器に多様化をもたらしてくれるだろう

DSPで苦労してきたAV機器メーカー出身者としては、にわかに信じがたいほどメリットの大きなQCS400シリーズ。スマートフォンで高度化された半導体技術の成せる業である。

AVはデジタル化以降、参入障壁が小さくなったのは事実。高度なSoCの登場は、それをさらに加速させるものである。その象徴はスマートフォンだろう。技術を持たなかった中国の組み立て工場が、スマホ用SoCを手に入れ、格安製品を矢継ぎ早に投入して発展。現在はその成長をベースに自社開発できるまで成長してきた。

QCS400シリーズの登場は、AV機器開発への参入障壁を下げ、スマートスピーカーやサウンドバー、AVレシーバーに多様化をもたらすことだろう。

一方老舗専業メーカーにおいては、デジタル部の開発が省力化できるメリットを、ユニークな製品の開発や更なるクオリティーアップにつなげ、さらにホームAVを盛り上げて欲しいものである。

家じゅうにスマートスピーカーがあふれ、サウンドバーや超多チャンネルAVアンプが気軽に楽しめる未来。QCS400シリーズはそれを実現してくれる大きなカギとなるだろう。

(鴻池賢三)

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