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最大32chのマルチチャンネル処理にも対応

1チップで音声操作もアトモスも。クアルコムのSoC「QCS400シリーズ」が可能にするAVの未来を予測

公開日 2019/06/25 06:30 鴻池賢三
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製品予測 その1:1台でGoogle HomeもAlexaも使えるスマートスピーカーが生まれる?!


スマートスピーカーはすでに数多く登場しているが、多くの機能が小さなSoCに統合されているQCS400シリーズを利用すれば、消費電力が少なくて済む。クアルコム社によると、音声認識が可能な状態での待機時間は従来比で25倍。一度の充電で2週間利用できるスマートスピーカーが実現可能という。ポータブル機器でネックといえる充電の頻度が少なくなれば快適性は飛躍的に増し、ボイスコントロールの活用も含め、利用シーンは広がりそうだ。トイレや浴室への固定的設置もアリかもしれない。

大島氏は、QCS400シリーズはネットに接続せずともAI音声認識機能が利用できる、いわゆる「エッジ処理」が可能である点を強調する。また、ネット接続が利用できる環境なら、音声命令をGoogle HomeやAmazon Alexaにパスすることも可能で、両サービスをひとつのスマートスピーカーで利用できるのもユーザーフレンドリーと言える。

機能面では11acのWi-Fi接続機能が利用でき、メッシュネットワークにも対応。スマートスピーカーの設置台数が増えれば増えるほど、宅内のWi-Fi接続がより安定したものになるのも、現在のライフスタイルと相性が良い。


製品予測 その2:格安の高性能サウンドバーが登場する?


ドルビーアトモスやDTS:Xに対応した高機能サウンドバーは、大手メーカーからのみ製品化されているのが現状だ。アナログオンリーのアンプ内蔵スピーカーなら枯れた技術のみで作れるが、デジタル信号の入出力に加えて幅広いデジタルフォーマットをデコードしようとすると、DSP(Digital Signal Processor)に精通しソフトウェア開発能力も必要なため、新興メーカーにはハードルが高いのが理由だ。

しかしQCS400シリーズを利用すれば、先述のようにデジタル関連の主要機能は統合されているので、製造メーカーはクアルコム社が提供するSDK(Software Development KIT)に沿って必要な機能やパラメーターを決めるだけで済む。つまり、技術を持たない価格競争力に長けた中国の工場が高機能なサウンドバーを開発できることにもなるのだ。

今や、中国の工場がAmazonを通じて格安で製品直販を行うことが可能な時代。QCS400シリーズを使っても、後段のDACやアンプ、スピーカーはそれぞれのブランドが用意することになるので音質等のクオリティ面が保証されるわけではないが、それでも大手メーカーにとっては脅威に違いない。これによる競争激化からの低価格化は想像できる。

ただ消費者にとっては、従来のクオリティ重視の専業メーカー製品に加え、「格安」という選択肢が増えることになるはず。これは喜ばしいことだろう。

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