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【特別企画】CDプレーヤー「vivid」とプリメイン「vita」

心ゆくまで楽しみたくなる音と佇まい。Auraの30周年モデル「Premium Black Edition」を聴く

公開日 2018/12/29 06:00 土方久明
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プリメインアンプ「vita Premium Black Edition」

vita Premium Black Editionは、過去の同社アンプと同等のシンプルな質感の意匠を狙ったプリメインアンプ。ベースモデルとなったvitaが備えていたフロントパネルのボタンを省いてデザイン性を高めているのだが、ブラックのフェイスがもつ精密感をより高めてくれる。

プリメインアンプ「vita Premium Black Edition」

内部写真を見ていただくとわかりやすいのだが、シャーシ内部にはパーツがぎっしりと詰まっている。左側にはトロイダルトランスを含む電源部が設置され、出力素子に「K1058/J162 MOS FET」をパラプッシュプルに配置。75W+75Wの出力を持つ。また、vivid Premium Black Edition同様に、コンデンサーや内部配線ともこだわりのマテリアルがふんだんに詰め込まれている。

入出力インターフェイスは、MM/MCに対応したフォノ入力と、1系統のXLRバランス、2系統のRCAアンバランス端子を搭載するほか、S/PIDF同軸と光TOS、USBによるデジタル入力にも対応する。FM/AMチューナー機能は省かれたものの、スピーカー出力の他にディスクリート構成のヘッドホンアンプを搭載。さらにUSB入力は最大PCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHzに対応するなど、入力・出力とも現代のソースを1台でカバーできる仕様を取りそろえている。

多くの入出力端子を備えている


こんな音でクラシックやジャズを心行くまま聴けたらどんなに幸せだろう

それではいよいよ試聴に入りたい。改めて、vita Premium Black Edition とvivid Premium Black Editionの実機を前にすると、その美しいデザインに強く惹き付けられる。美しいヘアライン処理が施されたブラックのフロントフェイスは、シンプルだが極めて精巧な雰囲気を湛える。

ディスプレイの色調が2台ともクリアなホワイトに統一されているのも良い。筆者もブラックフェイスの機器を好んで使っているのでわかるのだが、このようなコンポーネントは、デザインの良いラックと組み合わせると抜群の存在感を放ってくれる。

ディスプレイの色調はホワイト。またディスプレイからCDトレイに至るまで、丸いデザインで統一されている

付属リモコンも丸いデザイン。CDプレーヤー・プリメインアンプともに1つのリモコンで操作できる

まずは基本となるCDの音質を確認してみよう。vita Premium Black Editionとvivid Premium Black Editionの2台を組み合わせ、スピーカー、ELAC(エラック)「VELA BS403」を駆動した。

「VELA BS403」を組み合わせて、その音を確かめた

クラシックの名門レーベル、ドイツ・グラモフォン社から発売されているマルタ・アルゲリッチの名盤中の名盤「プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番/ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調」では、一聴して情報量や聴感上のS/Nが秀逸なことがわかる。この組み合わせの真骨頂は、ソリストのピアノやオーケストラの弦楽器、管楽器の質感の素晴らしさだ。ピアノの倍音には艶があり、旋律の叙情性をたっぷりと引き出してくれる。ヴァイオリンやチェロの艶やかな音色も特筆できる。

次ページノリと温度感が最高で、とにかく気持ちよく聴ける

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