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【特別企画】複数ケーブルの違いをチェック

電源ケーブルで “画質” も大きく変わる! 「オカルトじゃない変化ぶり」をサエクのケーブルで検証

公開日 2018/12/28 07:00 鴻池 賢三
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ここでの「縦振動」とは、地震波などでも知られるP波のことで、例えば長い鉄棒の一端に耳を当て、反対側をハンマーで叩くと、小さな音でも良く聞こえる。数キロメートル離れていても聞こえることもあるだろう。

AV機器内部も、電気が流れる部分は全て金属製なので、電源ケーブルを通じてやって来た縦振動が隅々まで伝搬する可能性がある。近年は環境保護の観点から無鉛ハンダが主流で、比較的柔らかい鉛による振動のダンピングが期待できないこともあり、縦振動問題は共振も含めて深刻かもしれない。振動はデジタル領域のジッターや、アナログ部分に影響を及ぼすかもしれない。

この流れが正しいとすると、電源ケーブルはいわば系統電源からやって来る縦振動のアブソーバーとして機能することが期待でき、交換すれば振動の伝わり方も変化するに違いない。

現在販売されている電源ケーブルの多くは、電気的抵抗をより少なく、また、交流によって発生するという横振動対策を重視した設計のようなので、あまり縦振動とは関係がなさそうだが、副次的に細い導線を螺旋状に束ねてあったり、介在による振動吸収効果が期待できることから、単一導線のVA線とは異なる。「柔らかい=縦振動吸収」と考えても良いだろう。

測定しない理由、比較時の注意ポイント

筆者は測定によるレビューを心がけており、今回もそこに期待して読み進んでくれた読者がいるかもしれないが、残念ながら現時点で、電源ケーブルの違いがもたらす画質差を定量的に示す方法が見つかっていない。

理由は、映像の明るさや色の変化がセンサーで精密に検知できるようなレベルではなく、また、ランダムなノイズを含む動画の場合、瞬間的な測定は意味を成さないからだ。音を一時停止して評価できないのと同じである。

今回の視聴でも参考撮影を行ってはいるが、一時停止した同じシーンを分析するという手法も、“動画” の比較としては完全とは言い難い

また、測定が意味を成さないのは、視覚のメカニズムが全て解明されていないからでもある。例えば、測定上同じ明るさの「点」があったとしても、常時点灯しているより、一定の周波数で点滅しているほうが明るく感じるという研究報告がある。物理的な量と、人間が受ける刺激や脳内での認知の関係は複雑で、こうした領域は当面、人間が感覚で評価するしかなさそうだ。

次ページ3種のケーブルを繋ぎかえ、順番に視聴した

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