【特別企画】DAC/HPAを独立搭載した音質追求型モデル

オーディオテクニカの完全ワイヤレスイヤホン「ATH-CKR7TW」を聴く ー 独立DAC/アンプ搭載で音質追求

海上 忍

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2018年11月28日

AK4375は、ATH-CKR7TWに搭載されたSoCとI2S(Inter-IC Sound、IC間を結ぶもっともプリミティブなプロトコル)で接続され、その性能を発揮する。当然、Bluetooth SoC単独の場合と比較すると容積は増えるが、完全ワイヤレスイヤホンとしての許容範囲に収め、さらに長時間再生に耐えうる量のバッテリーも格納しなければならない。

一般的な完全ワイヤレスイヤホンの回路イメージ。Bluetoothチップセット内に含まれているDACやヘッドホンアンプを用いている


ATH-CKR7TWの回路イメージ。Bluetoothチップセット内のDACやヘッドホンアンプはあえて用いず、高品位なDAC/ヘッドホンアンプをあえて外付けして用いることで、そのサウンドを高めている

なぜ「独立したDAC/ヘッドホンアンプの搭載」という手法を採用したかだが、「完全ワイヤレスでは後発という事情もあり、音質にとことん拘わろうと決めた」(オーディオテクニカ 商品開発部エレクトロニクス開発課の森本康之氏)と明快だ。チップの候補はいくつかあったというが、「原音重視の設計と情報量、力強さがSound Realityシリーズのコンセプトにマッチした。SoCのDAC/アンプとは低域の張りや高域の伸びがかなり違う」(森本氏)ことから、AK4375に決定したという。

もうひとつのこだわりどころが接続性だ。「SoCとは独立したDAC/アンプを使うぶん消費電力は増えるが、6時間以上という長時間再生を実現するため、ある程度の量のバッテリーは必要。一方で筐体はコンパクトにしなければならず、結果としてアンテナ設計がかなり制約を受けることになった」(森本氏)と、そもそも設計の条件が厳しいところに、コーデックのサポートを巡る難題も。特にaptXは安定した帯域を必要とするため通信設計が難しいそうで、過酷な電波条件でテストしたり、部品選定をやり直したりの作業が続いたという。

ケースに収めたところ

ドライバーも要注目。搭載されるのはダイナミック型、しかも専用設計のφ11mm。ダイナミック型を採用するにしても5mm、6mmという口径が大半の完全ワイヤレスイヤホンにおいて、目を見張る大口径だ。

専用設計、しかも完全ワイヤレスながらφ11mmという大口径のドライバーを内蔵する

振動板にはDLC(Diamond-Like Carbon)コーティングが施され、純鉄ヨーク採用の磁気回路に正確な前後運動を生み出す真鍮スタビライザーを装備、音響と電気の空間を明確に分けドライバーの性能をフルに引き出す独自技術「デュアルレイヤー・テクノロジー」の採用という、Sound Realityシリーズとしてのアイデンティティも忘れない。完全ワイヤレスだからと妥協しない、オーディオテクニカの音に対する姿勢がここにも見て取れる。


Bluetoothイヤホンであることを忘れる音 ? 完全ワイヤレスの新時代へ

ATH-CKR7TWの試聴は、スマートフォン(Xperia XZ2)でコーデックにaptXを指定して行った。iPhoneのようにaptXをサポートしないデバイスで聴いた場合、また印象は異なるだろうが、aptXが通信の条件としてより厳しいため選択している。

音切れの少なさも特筆できる

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