ネットワーク再生に特化して音質を高めた野心作

“音質追求型”のエントリー・ネットワークプレーヤー。マランツ「NA6006」をレビュー

土方久明

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2018年10月04日


■レスポンスが良好で使いやすいHEOSアプリ

また、操作していて気がついたのだが、操作アプリの使いやすさが大きく改善している。まず、画面をタッチした時のレスポンスが良好で、楽曲を選んで音が出るまでのタイムラグが少ない。また、アプリを立ち上げてからプレーヤーを認識するまでの時間も改善されている。正直に書くが、数年前までの同社のネットワークプレーヤーは、この部分の完成度をもう少し上げてほしいと思っていたのだが、劇的に改善されている。

HEOS対応ネットワークモジュール

これは、ネットワークモジュールが最新世代のHEOSに変わったこと、またネットワーク処理用のチップの処理速度が大きく上がっているからだ(前モデルNA6005が搭載していたチップは400MHzシングルコア、それに対しNA6006では3倍以上の処理スピードを持つ1.25GHzデュアルコアチップを搭載する)。

またアプリの画面デザインが良く、使いやすくなっている。アプリを立ち上げた直後の画面では、大きな文字とアイコンでソースが一覧表示され、ソースを直感的に選ぶことができる。また、「NASから音源を見つけて再生指示出す」という一連の流れもスムーズに行える。

ソース一覧表示の画面

再生中の画面

ちなみに、ネットワークプレーヤーの良好な操作性を担保する指標として使われてきた「Open Home」には対応しないが、同社旧世代のネットワークプレーヤーでは、アプリ側が保持していた再生プレイリストをHEOSのネットワークモジュールで保持させている。つまり、Open Home同様にプレイリストをプレーヤー側に持たせてあるので、アプリを閉じても再生が停止しない「オンプレイデバイス・プレイリスト」やギャップレス再生が可能になり、Open Home同等のユーザビリティを取得した。

曲を選んで再生できる

もちろん、ハイレゾ再生だけではなく、スマホとBluetooth接続をして端末内の音源を手軽に再生したり、Spotifyを聞いたり、快適に音源を楽しむことができる。

Spotifyの画面

■エントリー機としてはかなり音質チューニングに時間を掛けたモデル

ちなみに、音声出力はRCAによる固定と可変の2系統、そしてフルディスクリート構成のヘッドホン出力を備えている。最近は可変出力を利用して高性能なアンプ内蔵のスタジオモニタースピーカーと組み合わせる方も増えており、可変出力を利用される方も多いと聞く。

本機のEIコアトランス

ブラッシュアップされたアナログオーディオ回路

本機の可変出力は、固定出力とは別系統で、高精度の電子ボリュームHDAMSA-2回路を採用した出力バッファーアンプを介する高品質設計だ。通常このクラスの製品で利用されるデジタル処理による音量調整は、ビット欠落などの音質劣化の心配があるが、本機のボリューム機能はそれがないのである。

これ以外にも、ヘッドホン回路、Wi-Fi、Bluetooth、デジタル出力のオン・オフを個別に設定可能で、使用しない機能をオフにすることでより高音質を追求できる仕様になっていて、徹底されている。

それにしても、いくらND8006と同じDACを搭載したとはいえ、上位モデル同等の物量を投入できるはずもなく、音作りにはかなり苦労したはずだ。マランツのサウンドマネージャーである尾形氏によると、「開発当初は満足な音質が得られず、このクラスのモデルとしてはかなり音質チューニングに時間を掛けた」とのことで、特にアナログ・デジタルの電源基板まわりは部品変更だけでなく、基板のレイアウトやグランドパターンなどチューニングを繰り返して最終的な目標を達成できたそうだ。



結果として本機は、エントリーモデルとは思えないクラスを超えた音質を実現している。ご存知の通り、ネットワーク再生の機能はネットワークモジュールが小型化されたこともあり、アンプをはじめとする他ジャンルのオーディオ製品にも搭載されるようになっている。しかし、ネットワーク再生単体にターゲットを絞り音質を追求できるのが、単体ネットワークプレーヤーの強み。しかも、かけられるコストに制限があるエントリークラスのモデルだからこそ、リソースを集中して結果を出すのはいい手だ。文頭に音質にリソースを集中したと書いたが、再生ソースの幅広さや、アプリの仕上がりも上位モデル同様である。NA6006は、大バーゲンプライスのネットワークプレーヤーだと断言できる、満足度の高い1台だった。

(土方久明)

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