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HGモデル&通常モデルの比較試聴も

DAP連携や22.5MHz DSD対応にも対応。ミュージックサーバー「Soundgenic」の進化を探る

公開日 2018/09/18 06:00 生形三郎
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さらに、HGモデル限定の機能として、「Wake On Lan」をサポートしている。これによって、上位機「fidata HFAS1」シリーズと同じく、fidata Music Appからの本体電源のオンオフが可能となった。

HGシリーズはさらに一歩踏みこんだ上質なサウンドを聴かせてくれる

それでは、早速試聴をしてみたい。今回は、HDD 3TBモデルの「HDL-RA3HG」、そしてSSD 2TBモデルの「RAHF-S2HG」を中心に音質レポートしたい。それぞれの通常モデルと比較してみた結果をお届けしよう。なお、試聴はより音質差が出やすいUSB-DAC直接接続にて行った。

まず、「HDL-RA3HG」は、一聴した途端に、静けさがアップしたことに驚かされる。音楽とその背景の対比がより明瞭になるのだ。同時に、楽器の再生質感の純度が高まっていることにも気付かされる。ピアノの質感は歪み感がさらに抑えられ、澄んだ音色を持った滑らかで連続性のある演奏を描き出す。ボーカルもディティール表情がさらに詳しくピックアップされ、歌声の滑舌がより饒舌に。同時に、余計な付帯感が大幅に減少している。

試聴にはアキュフェーズのエレクトロニクス群、およびB&Wのスピーカーシステム「803 D3」を用いた。USB-DACはラックスマン「DA-06」を使用

ボーカルの発音やピアノの打鍵の音切れが向上し、よりリアルな発声や演奏ストロークが実現されている。ベース楽器やバスドラムの描写も滲みが減り、余韻がスッと収まる、より引き締まった低域を楽しませてくれた。全体的に、楽器の分離感もアップし、それぞれが立体的に描き分けられて展開する。これまでノイズに埋もれてしまった繊細な部分が、グッと引き立ってくる印象なのだ。この違いは明白かつ決定的と言える。

SSDモデルは、従来モデルであっても、SSDならではの速やかかつ軽やかな音切れが特徴的だ。とにかく音の余韻を綺麗に見渡すことができる。HDDモデルよりも当然静けさの表現が上回り、音色のキャラクターが抑えられた透明度の高い音を楽しませる。


聴き比べを行った4モデル
「RAHF-S2HG」になると、そこから、さらに余韻の切れがわずかに向上し、音のキャンバスに描かれる背景と対象のコントラストが明瞭になる。楽器の立体感やミキシングの奥行き感が向上するのだ。また、HDDモデルでのバージョンアップで感じられた歪み感の抑制が、こちらでも感じられる。全体的に、スムーズで滑らかな表情を引き出す。余計な引っかかりがなく、すっきりと無理なく、より素直な表情で音楽が描写されていくイメージである。

ピアノやボーカルなどの中域がさらに伸びやかな表現になり、音場や音像を一層ほぐれた質感で楽しませてくれる。細かい表情も粒立ちの良さを聴かせると同時に、音場自体の上下方向への広がりも僅かにアップした。

しかしながら、SSD搭載の通常モデルとHGモデルの音質差は、HDDモデルに比べるとその向上度合いは軽微なものと言える。バージョンアップの内容からみても、それは当然だろう。そして、今回の試聴は、かなりハイエンド機器を用いたな試聴環境で行ったことを改めてお伝えしておきたい。

だが、いずれの環境にせよ、この小さな違いがジワリと利いてくるのがオーディオの面白いところだろう。また、そもそもストレージ容量がアップしたことだけをみても、ミュージックサーバーとしての現実的な運用面において、大きなアドバンテージであることは言うまでもない。



ラインナップが拡充されるとともに、機能においても今夏のアップデートによって据え置き用途からポータブル連携まで視野にはいったSoundgenic。多様化するオーディオファンのさまざまなニーズに対して、ラインナップの面でも機能の面でも、これまで以上に柔軟に応えてくれる製品となったことを実感させられた。その中でも特に音質面でのバージョンアップは、ネットワークオーディオの更なる浸透と発展に大きく寄与することは間違いないだろう。

(生形三郎)

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