HOME > レビュー > 予算10万円以内でここまで良い音が楽しめる! 評論家5名がおすすめオーディオシステムを提案

多彩な「いい音」が見つかる

予算10万円以内でここまで良い音が楽しめる! 評論家5名がおすすめオーディオシステムを提案

公開日 2018/06/25 08:05 岩井喬/逆木一/高橋敦/土方久明/山之内正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

選定:土方久明
ハイレゾ音源レビューを書ける再生クオリティを備えるシステム

・USB-DAC
 AudioQuest「DragonFly Black」¥14,600(税抜)

「DragonFly Black」

・ヘッドホン
 SENNHEISER「HD 660 S」¥OPEN(市場想定価格55,000円前後)

「HD 660S」

>>合計:¥69,600(税抜)

「CDの高音質再生で必須となる “高精度なディスクドライブメカ” を必要とせず、比較的安価な機材でも良い音が出せるのがデジタルファイル(ハイレゾ)再生のメリット」と提唱してきた筆者を試すようなお題だ。

早速候補となる製品を考えたが、ただ単にコストパフォーマンスの高い製品を挙げても面白くないと思った。そこで僕は1つ目標を立てた。それは「その音を参考にハイレゾ音源レビューを書けるだけの再生クオリティを持つシステムを、10万円という予算内で提案する」ということ。

そしてその結論は、一点豪華主義的にヘッドホンに集中投資したシステムになった。なんと合計で7万以下だ。

上流から説明すると、トランスポートにはパソコン、もしくはスマホなど手持ちの機材を使う。

トランスポートにつなぐDAC/ヘッドホンアンプは、USBメモリーのようなコンパクトボディのAudioQuest「DragonFly Black」(¥14,600)をチョイスした。

本製品はパソコンのUSB端子に直接接続して使用できるほか、「Lightning - USBカメラアダプタ」を利用すればiPhoneとも接続できる。

そして、コストを集中的に投入するヘッドホンには、14年ぶりにモデルチェンジされたゼンハイザーのオープン型ヘッドホン「HD 660S」(55,000円前後)をチョイスした。同社の中心的役割を担うモデルで、ブラック基調にリファインされた先鋭的なデザインと、ダイアフラムの輪郭に合わせて製造した全面改良の新型トランスデューサーを持つ高性能モデルだ。前モデルで300Ωだったインピーダンスは150Ωと半分になり、DragonFlyでも駆動しやすい。

最初はスピーカーを使ったシステムを提案したい気持ちもあった。たとえばUSB入力付きのプリメインアンプで、コストパフォーマンスの高い、DENON「PMA-60」やマランツ「M-CR611」、ヤマハ「WXA-50」を使う方法だ。しかし定価ベースで10万円の予算(しかも定価ベースだと)だとどうしても自分の入れたいと思っていたシステムが挙げにくかった。

この組み合わせは、上下のfレンジ、情報量などオーディオ的な表現力に加え、ボーカルの距離感やサウンドステージの広さなどもアキュレート(正しく)に再生できる。よって、先述した音源レビューに使えるクオリティの音を出すことができるのである(DragonFlyがPCM 96kHz/24bitまでの対応なのはやや残念だ)。

また、将来これ以上の音質を求めたいときは、ヘッドホンアンプをグレードアップしても良い。しかしその時でも、性能の高くモデルチェンジサイクルの長いHD 660Sの魅力は薄れない。つまり一生モノのヘッドホンとして使えるのである。

今回はあえて開放型のヘッドホンを選んだが、これを密閉型にして、よりポータブルシステム寄りのシステムにしてもいいだろう。

次ページ山之内正が選んだ「DSDの長所を引き出すコンパクトシステム」

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE