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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(45)

I2Sスレーブに対応、ASUSの最新シングルボードコンピュータ「TinkerBoard S」を試す

公開日 2018/05/30 09:00 海上 忍
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eMMC搭載で利便性向上

もう一つ、TinkerBoard Sには「eMMC」(MMC互換の接続性を持つ基板に実装されたフラッシュメモリ)の装備という大きなアドバンテージがある。容量は16GBとオーディオ用途のOSを収録するには十分で、これでmicroSDを起動ディスクとする必要がなくなった。microSDカードスロットも装備され、従来どおりシステム起動用デバイスとしても利用可能だが、楽曲専用ストレージとした方が使い勝手はいいだろう。

eMMCの使い方だが、Macに接続したところUSBマスストレージとして認識された。OSのインストールもmicroSDと同様、これまで通りEtcherなどのGUIツールやddコマンドを利用できる。筆者はMacBook AirでEtcherを利用し、OSイメージファイルを書き込んだが、速度がmicroSDよりやや遅いことを除けば特に問題なし。SDカードリーダーを使わずUSBケーブルで直結すればいいので簡単だ。

USBケーブルでパソコンとつなぐとUSBマスストレージとして認識される

定番のOS書き込みツール「Ethcher」も利用できる

拡張ボードについては、GPIOのピンアサインは初代TinkerBoardと変わらず、その点で後方互換性は維持されていると考えられる。Raspberry Pi 2/3と完全互換ではなく、ドライバは無修正で動作するわけではないものの、PCM5122/HiFiBerry DAC+ PRO用ドライバーのソースコードを見る限り、若干の手直し程度で済んでいるようで、本稿執筆時点で最新のTinkerOS(v2.0.5)でも多くのオーディオ用拡張ボードがサポートされている(TinkerBoardのオーディオ用拡張カードの対応状況はこちらから確認可能)。

TinkerBoard Sのピンアサイン(国内代理店TechShareのWEBサイトより転載)

TinkerBoard Sの売りであるマスター動作に対応した拡張ボードも複数含まれており、当コラムではお馴染みのヘッドホンアンプ/DACボード「DAC 01」で利用するドライバ(HiFiBerry DAC+ PRO)の名もある。

TinkerBoardのオーディオ用拡張カードの対応状況

そのTinkerOS v2.0.5をベースに開発された「Volumio 2」も登場した。収録されているドライバーはTinkerOS v2.0.5とそっくり同じため、これが期待どおり動作すればRaspberry Piを置き換えることができるはずだ。

しかし、難題が…。Volumio 2をeMMCにインストールしたTinkerBoard Sを「CASE 01」にセットすべく、付属の銅製ノイズシールドを装着しようとしたところ……ピンヘッダが干渉してしまう。eMMCを導入したTinkerBoard Sでは、eMMCのリカバリーモード(microSD上のシステムから起動する動作モード)を用意するために、HDMI端子横に切替用のピンヘッダを新設しているのだ。銅製ノイズシールドはHDMI端子の約2ミリ上に位置する、いわばギリギリの設計。残念ながら、ノイズシールドなしでセットアップを進めることにした。

ピンヘッダ(赤破線で囲んだ部分)が干渉するため、銅シールドを装着できない

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