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筐体デザイン、ユニットまで新技術を多数投入

FOCAL「KANTA N゜2」レビュー。音楽のダイナミクスにエレガンスが同居する最新スピーカー

公開日 2018/03/30 08:00 生形三郎
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KANTAはカラーバリエーションが豊富で、光沢/マットの2タイプの仕上げによる計8色のカラーが用意され、設置空間に美しく溶け込むようになっている。今回はマット仕上げの実機をテストしたのだが、成形合板部分の素朴で滑らかな手触りは、木材が持つ優しい質感を十二分に楽しませてくれた。フロントグリルはマグネット式で、優美なデザインを阻害しない。アルミダイキャスト製の脚部は、「SOPRA」同様、スパイクで本体傾斜角度を微調整できる仕様だ。

光沢/マットの2タイプの仕上げで8色をラインナップ

搭載されるユニット類には、上位シリーズで築き上げた技術を惜しみなく投入し、徹底的な低歪化を目指している。新開発の27mm径ピュアベリリウムトゥイーター「IAL3(インフィニット・アコースティカル・ローディング・3)」には、空気流を最適化するIHL(インフィニット・ホーン・ローディング)原理が用いられ、「ELECTRA」シリーズに搭載されている「IAL2」よりも低い歪み率を達成。ユニット内部で適切な減圧と吸音を行なうことによって、高SPLでも透明度の高い音を実現している。

165mmのミッドレンジとウーファーユニットには、「ARIA」シリーズでお馴染みのフラックス(亜麻)・サンドイッチコーンを採用。ユニットごとに最適化した素材配合によって振動板が形成されている。ミッドレンジユニットのエッジには、高層ビルの免震技術である「TMD(チューンド・マス・ダンパー)」理論を応用した円形リブを設けて、フラットな低域周波数レスポンスの獲得と、エッジにおける共振の減衰及び大幅な歪みの低減を図っている。

ミッドレンジとウーファーには独自のフラックス・サンドイッチコーンを採用

ミッド及びウーファーユニットのフレームには「NIC(ニュートラル・インダクタンス・サーキット)」を採用する。マグネットのベースに同心円状のファラデーリングを追加して磁界を安定化させることで、歪みを大幅に低減。その結果、「ELECTRA」シリーズのミッドレンジに比べ、3 - 5dBもの低歪化が実現されているというから驚きだ。つまり「KANTA」は、上位機で培ったこれら技術によって、文字通り全ての帯域で著しい低歪みを実現するニューラインナップなのだ。

ダブルウーファーによる3wayシステムとなる本機のクロスオーバーは、それぞれ260Hzと2.7kHzに設定。2機のウーファーユニットは、エンクロージャー内でそれぞれ別のバスレフ・ボックスに納められる。バスレフポートはフロントとリアに配され、前面ポートからはソリッドでインパクトある低域を、後面ポートからは深く大きな音像を持った低域再現を狙っているという。なお、KANTAシリーズも、最終的には3機種のラインアップ構成になることが予想される。

爽快さも兼ね備えつつ、ローエンドまで重量感たっぷりに再生

それでは、早速試聴をしてみよう。まずはジャズボーカルで「Keiko Lee / Fragile」を再生する。極めて深い沈み込みを持った、バスドラムの重量感に圧倒される。ローエンドまでの充分な再生能力を備えているのだ。

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