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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第204回】話題の新ブランドAr:tio「CU1」レビュー! a.i.m.技術で音の“刺さり”を狙い撃ち

2018/03/02 高橋 敦
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新ブランドの美しきデビュー作、Ar:tio「CU1」

当連載イベントレポート「ポタフェス2017 冬」編(関連記事)でも『これは!』と注目させられていた、新ブランドAr:tioのデビュー作となるイヤホン「CU1」が、先日遂に発売を迎えた。これはもちろん紹介したいし、個人的にもチェックしたい!というわけで今回はCU1を紹介していく。

透明感と温かみを共に感じさせるルックス

病室で見上げる点滴器具のそれも思い起こさせる素材感

Ar:tio CU1、税込で1万4,000円弱のイヤホンだ。とりあえずルックスの時点ですでに何となく魅力的!と感じてくれた方もいらっしゃるのではないだろうか。ポリカーボネイト製の、美しいクリアシェル!そしてもちろん、技術面や音質面にも注目すべき特徴や個性を備えている。

サ行の刺さりを狙い撃つ!音響技術a.i.m.

クリアシェルの内部には、このイヤホンのサウンドを決定的に特徴付ける、同社独自の技術が搭載されている。「a.i.m(Absorbing Ideal Mechanism)」だ。

写真左側の方のイヤホンで見えているドライバー対向面の独特な構造がa.i.m

a.i.mの活躍のおかげか、音を放出する出口のフィルターはシンプル

a.i.m(Absorbing Ideal Mechanism)は、防音室やオーディオルームのチューニングなどにも用いられる有孔ボードと同じく、ヘルムホルツ共鳴の仕組みを応用した技術。任意の周波数の音をピンポイントに近い形で吸収する音響構造だ。

そしてこのモデルで設定されたその「任意の周波数」とは、いわゆる刺さり、サ行のピークの帯域。「女性ボーカルで子音がサ行の歌詞のところが鋭すぎて耳に刺さる……」みたいな印象になってしまう、あれだ。

耳を密閉するカナル型イヤホンでは、どうしてもそこに不要なピークが発生しがちだという。しかしそこを抑えるために音響抵抗フィルターを使うと、その帯域だけではなく、高域全体をなだらかに減衰させることになってしまう。

そこをピンポイントに近い形で抑え込めることがa.i.mの特長というわけだ。まず「刺さりを抑える」ことで当然、刺さりの不快さをなくすことができる。加えて「刺さりは抑えるがその周囲までは抑え込まない」ので、目立つ刺さりにマスキングされがちだった、刺さりの周辺帯域にある細やかな音が届きやすくなる。特に後半部分がこの技術、このイヤホンの大きな強みと言えるだろう。

ちなみに「aim」は英語でスナイパーなどが「狙いをつける」といった意味の動詞。特定帯域だけをピンポイントで仕留めるこの技術の名称にふさわしいダブルミーニング!……かもしれない。そこは確認していないので言い切れないが。

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