[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第190回】5,000円級イヤホンにも驚きのハイコスパ機現る!final「E2000 & E3000」レビュー

高橋 敦

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2017年05月26日
1万円クラスに続いて、5,000円クラスにも革命!

この連載で先月紹介させていただいた、Pioneerの新イヤホン「SE-CH9T」。僕の取り越し苦労っぷりが編集部記事のネタにされるほど好評のようだ。
(関連記事:「パイオニアのハイレゾイヤホン「SE-CH9T」が品切れ、予想上回る人気で」)

実際、実売1万2000円前後のこのモデル、1万円前後という価格帯のダイナミック型イヤホンとして新鮮で魅力的な音を備えており、アイドル的に表現するならば「見つかりさえすれば売れて当然」な逸材だったと言える。それがちゃんと見つかってくれたわけだ。

さて、しかし今月。ダイナミック型イヤホンの世界にまたそれに匹敵する驚きのモデルが登場した。先日発売開始された、finalのイヤホン2機種だ。
●final「E2000」(実売4,500円程度)
●final「E3000」(実売5,500円程度)

こちらは発売前から明らかに注目されており、発売後にも「期待通り!」「期待を超えてた!」と高評価を得ている。

E2000。アルミ切削ハウジング。ブラックアルマイトの精悍な仕上げ。E3000よりも軽量なことも地味にポイントかも

E3000。ステンレス切削ハウジング。素材を生かした鏡面仕上げ

実際、これまでの5,000円前後クラスの基準を明らかに塗り替えるレベルのサウンドだ。だがそれは、例えば「DEEDS(ディーズ=デュアルエレクトロニックエクストリームドライブシステム)」みたいな、必殺技っぽい派手な新技術とかで実現されたものではない。

技術面ではむしろ、「ドライバーユニットは、部品と組立の精度が最重要です。今回採用した小口径φ6.4mmダイナミック型ドライバーユニットは、この価格帯としては異例の高い精度を誇ります」という言葉に象徴されるように、既存の普通の技術、その精度や調整を磨きあげることに注力した印象だ。もちろんその「普通のことを普通ではないレベルにまで極める」ことこそ真に難しいのだろうが。

ということでこれらのモデル、技術面をああだこうだ説明しても仕方ない。そこは写真とコメントでさっと済ませて、シリーズ共通のサウンドの魅力、その上で2つのモデルそれぞれの個性についてじっくり紹介していこう。

現代的なE2000!女性ボーカルに合いまくるE3000!

では早速、2つのモデルに共通する音について紹介しよう。僕はこれまで良質な小口径ダイナミック型の持ち味は、独特の鋭さの高域、硬質さを伴う速い低域などにあると思っていた。しかしこのシリーズのサウンドは僕のその思い込みには当てはまらない、それを打ち砕くものだった。高域のシャープネスは癖がなく素直なものだし、中低域もやはり素直だ。

イヤーピースを装着するステムは短め。これによってイヤピ先端側は耳道の傾きに合わせてぐにぐにと動き、より適当な装着ポジションを得られる

水に喩えるならば、僕の思い込んでいた小口径ダイナミック型の音の印象は「微炭酸水」。対してこちらのシリーズのサウンドは炭酸を含まない「普通に美味しい天然水」といったところだろうか。もっと具体的にイヤホン分野の言葉で例えるなら、実際には小口径ダイナミック型の部類でありながら、高域はBA的、中低域は中口径ダイナミック的な素直さを思い起こさせる。

そういえば、正にそういったドライバー構成のAKG「N30/N40」の兄弟と、こちらの「E2000/E3000」の兄弟は、音の傾向にしてもシリーズ内での音のキャラクター分けにしても、家族構成として少し似ているかもしれない。

ケーブルは細身でとてもとてもしなやか!

つまりこのE2000とE3000、単に筐体の素材が異なるだけではない。前述のシリーズ共通の持ち味に加えて、それぞれのモデルごとのチューニングも施されている。ここからは、それぞれの音を紹介していこう。

E2000はイマドキなすっきり感、E3000は豊かな響きも再現

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