HOME > レビュー > アクセサリー銘機賞グランプリを受賞。サエクの旗艦ケーブル「STRATOSPHERE」を聴く

【特別企画】XR-1/SL-1/SP-10を試聴

アクセサリー銘機賞グランプリを受賞。サエクの旗艦ケーブル「STRATOSPHERE」を聴く

公開日 2017/12/28 09:28 山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
音質上の理由によってプリアンプにはXLRケーブルでK-01Xをつなぎ、KLIMAX DSはRCAで接続するという具合に使い分けている。そこで今回はK-01XでXR-1、KLIMAX DSでSL-1をそれぞれ常用のケーブルと交換して試聴することにした。

XR-1、SL-1どちらも最短仕様(0.7m)のケーブルを使用、アキュフェーズのセパレートアンプ(CX-260+PX-650)とウィルソンオーディオの「Sophia 3」を組み合わせた普段通りの再生環境にSTRATOSPHEREシリーズのラインケーブルを組み込むという方法だ。

ケーブル「XR-1」を確認する山之内氏

■微小な空間情報を忠実に再現ラインケーブル「XR-1」「SL-1」

K-01Xでインバル指揮都響の「ショスタコーヴィチ交響曲第8番第3楽章」を再生する(SACD、EXTON)。優れたセパレーションと迫真の臨場感が両立した秀逸なライヴ録音で、冒頭で弦楽器群が刻む音形の切迫感や、管楽器が担う裏拍の強いアクセントが異様なまでの緊張をはらんでいる。そのテンションの高さを引き出すためには、弓が弦に当たるときの鋭い摩擦音や管楽器の息継ぎなど、楽音以外の成分を正確に再現しなければならない。

摩擦音の鋭いアタックは超高域成分を多く含み、ブレスをたんなるノイズと識別するためには微小な空間情報を忠実に再現することが求められる。いずれにしても時間軸方向の分解能を確保することが不可欠で、超高域成分を精度高く再現できるかどうかがクオリティを左右する。

「XR-1」

ケーブルをXR-1に換えると、ステージ上の各楽器の並びが立体的で、前後の遠近感を克明に描写することに気付く、舞台前方からヴィオラやヴァイオリンの音が勢い良く飛んでくるのは弓を跳ねさせるスピッカート奏法特有の鋭い発音がもたらす効果で、XR-1はその緊迫感を生々しく再現。管楽器のブレスや低弦のピチカートはホールに居合わせないと体験できないような奥行きを伴った広がりがあり、高弦が鋭く刻むリズムとのコントラストが鮮やかだ。

アレッサンドロ・ガラッティのピアノトリオ「Seals」ではピアノ、ベース、ドラムそれぞれの実在感の高さに加えて、各奏者の間で交わされるインタープレイの存在を聴き手に強く意識させる緊張感の高いサウンドが展開した。互いの音を聴き合って音色やダイナミクスを瞬時にコントロールし、交錯するリズムの関係が鮮明に浮かび上がる。動きのあるライヴ感豊かな演奏は、互いの音を生で聴き合うアコースティックなジャズならではの醍醐味で、XR-1にはその本質を引き出す力がそなわると感じた。

次ページ続いてKLIMAX DSにSL-1をつなぎハイレゾ音源を再生

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE