DP-OFC導体にマグネシウムフィルターを搭載

ティグロンの創立10周年記念ケーブルを聴く ー “ハートフルなハイレゾサウンド”の最高傑作

柴崎 功
2017年09月15日
GE社が開発した幻の導体「ディップフォーミングOFC(DP-OFC)」を採用したケーブルが大ヒットを記録し続けるティグロンが、創立10周年を記念した2つのケーブルを登場させた。一つは新開発の「マグネシウムセパレートシールド」と「マグネシウムフィルター」を搭載したスピーカーケーブル、もう一つは「AC用純マグネシウムフィルター(PMF)」を搭載した電源ケーブル。10周年を飾るにふさわしい集大成的なモデルに仕上がった両ケーブルをレビューする。

新型フィルターを採用したMg-DFシリーズの最高峰

10周年記念の2モデルに共通する特徴は、Mg-DFシリーズの最高峰という点と、後述のツインマグネシウムフィルターを初採用した点である。マグネシウムの元素記号MgとディップフォーミングのDFを合体したMg-DFシリーズは、ディップフォーミング無酸素銅(略称DF-OFC)を芯線導体に用い、マグネシウムシールドを施した「ハートフルなハイレゾサウンド」のケーブルである。

「マグネシウムシールド」は、制振効果が高く電気抵抗が低いマグネシウム箔を芯線群の上に巻いて、電気的なシールドと機械的なシールド(芯線の制振)を行うティグロンのパテント技術だ。

最近は導体に新素材を用いてハイレゾサウンドを追求したケーブルが多く、解像度は高いが低域が貧弱で、長く聴くと疲れる製品が少なくない。そこでティグロンは新素材ではなく、ウエスタンエレクトリックがアンプ内部配線に用いた、古くからハートフルな音で定評がある旧素材「DF-OFC」に着目した。これを開発したのは米国GE社で、日本では昭和電線が製造している。

スピーカーケーブル「MSS-DF100SP」
Mgセパレートシールドとツインフィルターが特徴


TIGLON「MSS-DF100SP」¥94,800(1.5mペア/税抜)

MSS-DF100SPは、同社の最高峰モデル「TCS-2.5S」の後継にあたる新たな最高峰スピーカーケーブルだ。その2大特徴はマグネシウムセパレートシールドと、ツインマグネシウムフィルターを採用した点で、MSSはマグネシウムセパレートシールドの略である。

従来のマグネシウムシールドは、芯線全体を1枚のマグネシウム箔で一括シールドしたが、MSSDF100SPは+側と−側の芯線それぞれをマグネシウム箔でシールドするセパレート方式を採用。幅3mm/厚み0.1mmのマグネシウム合金箔“AZ31”を、各芯線絶縁被覆の上に1mmの隙間を空けて巻きつけている。シールド箔にAZ31を用いたのは、純マグネシウムより音がナチュラルで、曲げに対する耐久性が優れているためだ。

ケーブル構造は、DF-OFCの極細撚り線(φ0.18mm極細銅素線の20本撚りを7束ロープ撚りにした線)を耐熱PVCで絶縁し、その上にマグネシウム合金箔を巻いてPVC中間シースを被せた2本の芯線を、耐熱PVCの下付けシースで覆って断面を円形にし、その上にブラックメタリックの外部シースを被せた形となっている。ケーブル外径は13.5mm、芯線の端末にはフルテック製ロジウムメッキY端子を備える。そしてケーブル外装の両端には、純マグネシウムの丸棒を外径25mm/長さ40mmの円筒状に削り出した制振用メカニカルフィルター「マグネシウムフィルター」が装着されている。

電源ケーブル「MGL-DFA10」
DF-OFC導体を採用してMgフィルターを出口に追加


TIGLON「MGL-DFA10」1.2m=¥77,000/1.8m=\89,000(ともに税抜)※±60pごとに±¥12,000(税抜)

MGL-DFA10は「MGL-A1」の後継となる3芯電源ケーブルで、給電導体をDF-OFCに変更し、出口側にもマグネシウムフィルターを追加したのがMGL-A1との相違点である。

ケーブル構造は、DF-OFCの極細撚り線(φ0.18mm極細銅素線を105本撚りにした線)を耐熱PVCで絶縁した3つの芯線を、PVCの内部シースで覆って断面を円形にし、絶縁体と内部シース間に応力を逃がす滑石粉を挿入。シールド層は錫メッキ軟銅線の反転横巻きダブルシールドで、その上にPVCの第二内部シースを介して、10mm幅/0.1mm厚のAZ31マグネシウム合金箔を1mmの隙間を空けて巻き、その上に耐熱性PVCの第三内部シースを設けている。

外部シースは高級感のあるゴールドPVC。ケーブル両端には、純マグネシウムを削り出した外径25mm/長さ40mmのマグネシウムフィルターが装着されている。ACプラグとIECプラグは、無メッキ黄銅電極を用いたオヤイデ電気「P-029」と「C-029」に制振対策を施し、特殊研磨布で磨き上げた特注品である。

驚異的なS/N感と情報量繊細かつ量感を備えた再現性

DF-OFCとツインマグネシウムフィルターの導入は、想定外の劇的音質改善をもたらし、両作品とも旧モデルとは異次元の超迫真サウンドに大進化した。両ケーブルに共通した特徴は、ノイズレベルが下がって微弱音分解能が驚異的に上がり、歌手が口を開ける際に出る、舌と上顎間の唾の膜が切れる「ピチッ」という音や息遣いが明瞭になって、その生々しさにゾクゾクした。

しかも高分解能でありながら低域の量感があり、癖がなくて伸び伸びした音、即ち「ハートフルなハイレゾサウンド」というDF-OFCの特徴と、「瞬発力や制動力が増してクッキリ鮮明」になるマグネシウムシールドの特徴が見事に融合し、音量を上げてもうるさく感じない。

また、MSS-DF100SPは繊細さと量感を兼ね備え、癖をまったく感じない音でシングルでも突出しているが、バイワイヤリングにすると低域の量感や中〜高域の透明感が増し、瞬発力がより強化されてスピーカーやパワーアンプをアップグレードしたよう。耳の肥えたハイエンドユーザーにも、自信を持ってお薦めできるケーブルといえる。

(柴崎 功)



本記事は「季刊AudioAccessory 166号」から転載したものです。ご購入はこちらから

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