フォノイコも刷新

マランツ「PM8006」レビュー。10万円台前半の定番プリメインが電子ボリューム搭載で音質を強化

山之内 正

前のページ 1 2 3 次のページ

2017年12月11日
「PM8006」は、マランツがネットワークCDプレーヤー「ND8006」(関連ニュースレビュー記事)と同時に8000シリーズに投入したプリメインアンプの最新モデルである。本項では、PM8006とND8006の純正組み合わせで、PM8006の実力を検証した。

「PM8006」(¥130,000/税抜)

8000番台として電子ボリュームを初搭載

前作の「PM8005」(関連ニュース)から3年ぶりのモデルチェンジとなる今回は、主にプリアンプ回路の内容を刷新することで大幅な音質改良を果たしたとされる。デジタル入力を持たない純粋なアナログアンプで本質的な音質改善を実現するためにはボリューム回路にメスを入れることが不可欠で、今回の一つ目の改善ポイントはまさにそこにある。

正面から見たところ。デザインは前モデル「PM8005」からほぼ変わっていない

最近のマランツのプリメインアンプ群は、上位機種に電子ボリューム、普及クラスの製品には従来型の可変抵抗体方式のボリュームを主に採用してきた。電子ボリュームと言ってもピンからキリまで多様な方式があり、精度と基本性能を追求すると回路規模やコストは加速度的に大きくなってしまう。

一方、従来型のボリューム素子は音量を絞ったときに左右チャンネルのレベル差が生じるギャングエラーなどの課題はあるものの、総合的に見るとコスト/性能比が優れているため、前述のような使い分けは理にかなっていると言えるだろう。

では、なぜPM8006は電子ボリュームを採用することができたのか。それは昨今のデバイスの進化と関係がある。従来は高価だった高性能な電子ボリュームICが低価格化を実現し、しかも精度アップなど性能の向上も著しい。普及価格帯のアンプにも性能本位での電子ボリューム採用の選択肢が生まれ、ワンランク上の音を狙う道が開けたのだ。

従来型のボリュームに対して高性能電子ボリュームが優位な点をもう一つ挙げておこう。ハイレゾなど最近の音楽信号は従来以上に広い帯域にわたって信号が分布するが、今回、本機が採用したJRCの電子ボリュームICは、超高域の領域でもクロストークが少なく、高いセパレーションを実現しているのだ。

同ICは、マランツの上位モデルに採用されている電子ボリュームICを上回る諸特性を実現しているとされ、HDAMを中心としてディスクリートで構成したプリアンプ回路との相性も際立っているという。同社が上位モデルの開発で培ったノウハウと、進化したデバイスが相乗効果を生んでいると考えて良さそうだ。

MM対応の内蔵フォノイコライザーも刷新

フォノイコライザーアンプを一新したことも大きなトピックである。今回は増幅段を2つのステージに分けたNF-CR型の回路を新たに開発。低域から高域まで広い音域にわたって大幅に歪みを低減することに成功している。さらに、入力段のカップリングコンデンサーを省き、再生音の純度を上げる工夫を凝らしたことも見逃せない。MM型のみの対応ではあるが、レコードファンには嬉しいアップグレードである。

「Marantz Musical Phono EQ」の基板

歪の低減はHi-Fi再生の本質に関わる改善だが、それは同時にレコードに記録されている本来の音を引き出すことにもつながる。レコードらしさをどこに求めるかは人それぞれだが、温かみのある豊かな音を求める志向は一貫して強く、今回は特にその点を意識して音質チューニングを行ったとのこと。実際にどんな成果を上げているのか、再生音を確認するのが大いに楽しみだ。

■ボリューム回路のグレードアップでS/Nと情報量が改善

前モデル「PM8005」との比較を交えながら、PM8006の再生音を紹介していこう。レファレンスには、モニターオーディオの「Platinum PL200」を組み合わせ、ディスク、ハイレゾ音源、レコードを聴いた。

「PM8006」(上)と前モデル「PM8005」(下)を比較試聴

「PM8006」のサウンドはどのように進化したかをチェック

前のページ 1 2 3 次のページ

関連記事