メディアごとに従来モデルと音質を比較

マランツ「ND8006」レビュー。CDからハイレゾまでを忠実再現する新世代Hi-Fiプレーヤー

山之内 正

前のページ 1 2 3 次のページ

2017年12月01日
入門機からハイエンドまでフルサイズの本格派コンポーネントを複数揃えるメーカーはいまや少数派だが、そんななか、マランツは着実に新製品を送り出し、オーディオファンの期待に応えている。この秋には同社のラインナップのなかでも重要な一角を担う“8000”シリーズを一新、デジタルプレーヤーの「ND8006」とプリメインアンプ「PM8006」(関連ニュース)を同時に投入した。ここではND8006に焦点を合わせ、性能と使い勝手を検証しよう。

「ND8006」(¥130,000/税抜)

■ネットワーク/USB-DACにCDプレーヤーを統合した一体型モデル

マランツ“8000”シリーズのデジタルプレーヤーは、CD/SACDプレーヤー「SA8005」(関連ニュース)とネットワークプレーヤー「NA8005」(関連ニュース)の2製品がディスク再生とデータ再生それぞれの用途を担ってきた。ND8006は、その2台のプレーヤーを1台にまとめることで、ソースコンポーネントとしての使い勝手を向上させるとともに、コストパフォーマンスの改善も狙う。これまで2台分のスペースと投資が必要だったものが1台になるメリットは明らかだし、DACや電源など共有できる回路もあるから合理的ではある。だが、あえて個別に設計した製品を合体するデメリットはないのだろうか。

Bluetooth機能およびデュアルバンドWi-Fiも内蔵しており、ワイヤレス再生にも対応している

もちろんユーザーの心理としては、新世代の製品として導入する以上は、たんに2つの製品を1つにまとめるのではなく、ディスク再生とデータ再生のそれぞれについて、前作からの進化を期待したくなる。

“そんなにうまくいくのか”とも思えるが、マランツは、今回あえて基本コンセプトを見直すことで解決策を見出した。思い切ってSACD再生機能を省き、CDと一部のデータディスクに絞ることでコストダウンを図り、その分をCDとネットワーク再生の音質改善にまわす手法を選んだのだ。SACDが聴けないのは残念だが、それには上級機で応えていくということなのだろう。

「ND8006」の背面部

進化は本質的な部分に及んでいる。まず、DACが従来のシーラスロジック製からESSの「ES9016K2M」へ変更され、それに伴ってデジタルフィルターに独自開発のMMDF(マランツ・ミュージカル・デジタル・フィルタリング)を採用。I/V変換回路などもHDAMとHDAM-SA2を活用したオリジナル設計で、DACの性能を引き出すための技術改良と音質チューニングに大きく踏み込んでいる。

デジタルアイソレーションによる外来ノイズの遮断など、ネットワークプレーヤーやUSB-DACで培ったノイズ対策を本機の構成に最適化して載せていることも見逃せないポイントだ。また、ネットワークやUSBなどデータ再生用の回路からアナログ回路へのノイズ伝播を抑えるため、デジタル再生の回路を機能ごとに個別にオフできる設定を用意し、一体型で懸念される信号干渉による音質劣化を未然に防いでる。

「ND8006」のデジタルオーディオ基板

ネットワーク再生のコアとなる回路は、同じディーアンドエム・グループのデノン製品でおなじみのHEOSと共通化し、NA8005よりも新しい世代のエンジンに生まれ変わった。Spotifyなどストリーミングサービスを当初からサポートすることに加え、HEOS対応機器の間での音源の共有など、再生スタイルを大きく広げている。

CD再生では音源の生々しさを積極的に引き出す

前のページ 1 2 3 次のページ