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クラスDアンプはフルアナログで実現可能

スイッチングアンプ採用の「PM-10」を、マランツが“アナログアンプ”と呼ぶ理由

2017/03/10 編集部:小澤貴信
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スイッチングアンプ採用の「PM-10」をマランツがアナログアンプと呼ぶ理由

マランツの新旗艦プリメインアンプ「PM-10」は、セパレートアンプの構成要素をまるまるプリメインアンプに落とし込んでしまった希有なモデルだ。そして、プリ+モノパワー×2という合計3筐体分の内容を1筐体に納める、というコンセプトを実現する要となったのが、Hypex社製のスイッチングアンプ・モジュールだ。

Marantz「PM-10」

高効率かつ省スペースで、音質にも妥協ないHypexのスイッチングアンプを用いたことが、プリメインアンプという枠で、「フルバランス構成」「パワーアンプのBTL構成(合計4chというモノ2台分のアンプ搭載)」「セパレート電源」というセパレートアンプならではの要素を実現することができたのだ。

ここでひとつ気になることがある。スイッチングアンプとは、ご存じの通りクラスDアンプのことである。一方でマランツはPM-10を「全段アナログアンプ」であることを強調している。「クラスDアンプなのに、全段アナログアンプ?」と疑問に思われる方もいるのではないか。

また、オーディオにおいて比較的よく使われる「クラスDアンプ」という言葉を使わず、マランツが一貫して「スイッチングアンプ」という呼称をあえて用いるのはなぜなのか。

そこで今回、スイッチングアンプを採用したPM-10を「アナログアンプ」と呼ぶ理由について、マランツの高山健一氏にお話を聞くことができた。

マランツ 高山健一氏

高山氏は冒頭で、以下のように前置きした。「現状において、デジタルアンプとクラスDアンプ、あるいはスイッチングアンプという言葉が、あまり整理されずに使われていると感じています。だからPM-10を送り出すにあたって、PM-10がスイッチングアンプを採用した意味をわかりやすく整理をしておきたいのです。ですから、これから話す内容に対して異論をお持ちの方に対しても、その方の意見を否定するような気持ちは毛頭ありません」。

クラスDアンプの「D」は、デジタルアンプの「D」ではない

まずは大前提の話として「クラスDアンプ=スイッチングアンプ」である。同じ方式のアンプに対して異なる名前で呼んでいるだけだ。

一方で、高山氏は「クラスDアンプ=デジタルアンプは間違いです」と説明する。しかし、「クラスDアンプはデジタルアンプだ」という認識が浸透してしまっており、PM-10がクラスDアンプと名乗ることで「PM-10はデジタルアンプなのか」と勘違いされることを避けたいがために、あえてどちらかといえば馴染みの薄い「スイッチングアンプ」という呼称を用いているのだという。

ではそもそも、デジタルアンプとクラスDアンプ(=スイッチングアンプ)のちがいは何なのか。

次ページ「デジタルアンプ」と「アナログアンプ」のちがい

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