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フォノイコも刷新

マランツ「PM8006」レビュー。10万円台前半の定番プリメインが電子ボリューム搭載で音質を強化

公開日 2017/12/11 08:30 山之内 正
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今回のリファインはプリアンプの改良に焦点を合わせており、パワーアンプ部は基本的に前モデルのPM8005の構成を踏襲しているのだが、本機の再生音を聴いていると、パワーアンプについても内容をブラッシュアップしているような印象を受ける。たとえば、マランツが歴代のアンプ開発でこだわり続けている瞬時電流供給能力。本機も前モデル同様に45Aを実現していて、その数字自体このクラスのプリメインアンプとしては異例と言って良い余裕がある。

プレーヤーは「PM8006」の対となるネットワークCDプレーヤー「ND8006」を組み合わせた

ブニアティシヴィリが独奏を弾くラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を聴くと、そこにさらに余裕が生まれたようなダイナミックな鳴り方をする。第1楽章冒頭のピアノの和音は、ピアニシモからフォルテシモに至るダイナミクスの変化を忠実に表現する。オーケストラが分厚い響きを重ねるなか、独奏ピアノの音形が鮮明に浮かび上がるフレーズは、PM8005よりもPM8006の方がずっと起伏の幅が大きく、他のピアニストとの違いが浮き彫りになる。

ボリューム回路をグレードアップしたことでS/Nと情報量が改善し、ダイナミックレンジが広がった効果だと思うが、それによってパワーアンプ回路が本来の性能を発揮したという面もありそうだ。

アレッサンドロ・ガラティのピアノ・トリオを聴くと、3人の奏者の間に生まれる相互作用の存在を実感できた。抑えめの音量で静かに始まり、次第にテンポと音量が高揚していく様子がとても生々しく、リスナー側のテンションも自然に上がる。

PM8006とPM8005の違いは、一音一音の鮮度とクオリティ感の高さにあり、前者の方がドラムやピアノのアタックに乗るエネルギーが強めに感じる。音の立ち上がりが俊敏になると、音像が引き締まってスピードが乗り、音が遠くまで到達するなど、演奏のアクティブな面がストレートに伝わるようになる。ベースも一つひとつの音に勢いが増したように感じられ、低音のドライブ力で演奏が躍動的になる様子が伝わってきた。プリアンプの改善によってここまで音が変わるのは原理では納得がいくが、実感としては驚きを禁じ得ない。

「PM8006」の背面端子部。スピーカー端子がマランツオリジナル端子(SPKT-1+)へ刷新された

ムジカ・ヌーダのヴォーカルは音像のフォーカスがいっそう引き締まり、一歩前に出るアクティブな動きを見せた。短く区切ったイタリア語の発音の小気味良い動きが際立ち、ベースのピチカートと正確に同期する面白さがあふれ出る。PM8006の音を聴いたあとでPM8005を聴くと、声やベースの質感にそれほど大きな差はないのだが、端整ながらやや静的な印象を受けてしまう。PM8006は必要なときに躍動感を確実に引き出す力を獲得したのである。

■ネットワークCDプレーヤー「ND8006」と組み合わせてハイレゾ音源再生をチェック

ND8006で再生したハイレゾ音源は、ライヴ録音の臨場感や楽器の実在感が最大の聴きどころで、息遣いなどの微小信号や楽器の位置関係など空間情報を正確に再現する性能が上がっていることをうかがわせた。

ハイレゾ音源再生のサウンドをチェック

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