【特別企画】ケン・ボール氏のインタビューも

6万円台で買える優秀機、Campfire Audio「POLARIS」レビュー。「ハイブリッドっぽくない」ハイブリッド

高橋 敦

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2017年11月17日

シングルBA機のようなスッキリした透明感に、表現の厚みや広さをプラス

さて、それでは実際に試聴してみよう。音質は前述のように、シングルBAの「ORION」を彷彿とさせる音色や空間の透明感のまま、表現の厚みや帯域の広さまでも獲得したという印象だ。

装着した様子

悠木碧さん「レゼトワール」やCornelius「いつか/どこか」といった、突出した空間表現が行われている曲との相性は特に素晴らしい。透明感だけでも広さだけでもなく、その二つが同時にあるからこそ、非現実的で、声だけで構成された前者なら幻想的、エレクトリックサウンドの後者なら仮想現実的な、それぞれの世界観がより明瞭に具現化される。

またS/N感も非常に高い。静かな場面での細かな音の残り方から、その残った音の消え際まで、何にも邪魔されず美しく描き出されることで、その音の儚さに引き込まれるような気さえしてくる。

前から見るとツートンカラーがさりげなく見える

相対性理論「夏至」やペトロールズ「表現」といったバンドサウンドでも、クリアネスかつシュッとしたシャープネスが際立つ。楽器で言うと特に、ギターのクリーンの硬質な艶、シンバルの鈴鳴りなどだ。

ベースやドラムスも存在感や説得力を備えるが、「ここでダイナミック型ドライバーが活躍しています!」というような過剰な主張はしてこない。コンパクトに引き締まった音像ながら、ガツンと明瞭なアタックや音色の濃淡のような表現力を備えており、とても良質だ。



ハイブリッドらしいハイブリッドの音が好みという方には、同社の「DORADO」がオススメだ。POLARISでは、シンプルな1BAや2BA、中でも特にスッキリ系の音作りのイヤホンが好みの方であれば、ハイブリッドでありながらその延長線上にあるかのような音を感じられ、気に入るのではないだろうか。もちろん、ドライバー構成などは気にせず「とにかく良いイヤホンが欲しい」という方にも、ぜひ聴いてみてもらいたいイヤホンである。

(特別企画 協力:ミックスウェーブ)

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