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【特別企画】Sound Reality Sereiesの新モデルを聴く

岩井 喬が聴くオーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」。フルデジタル&aptX HD対応が実現する“次世代のワイヤレスサウンド”

公開日 2016/11/25 10:00 岩井 喬
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ここからはaptXとaptX HDを比較して試聴することで、世にあまたあるaptX対応製品と比べたDSR9BTのアドバンテージを探ってみたい。

aptX HD接続時(写真左)は右端のインジケーターが紫色に点灯。aptX接続時(写真右)は白色に点灯する

まずクラシックのレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit)におけるaptX再生であるが、管弦楽器のハリ良くシャープにエッジを描き出し、ほぐれ良い滑らかなトーンにまとめている。低域の伸びはむっちりとして全体的に艶やかだ。aptX HDに切り替えると全体の解像度、分解能の高さを維持しつつ、中域の密度感が増し、余韻の緻密な階調性が数段向上する。左右ドライバー間の音の繋がりも改善されており、S/Nも高い。低域の弾力も高く、ティンパニの皮のハリも自然で、制動良い堂々とした響きに満ちている。

ジャズからはオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit)を聴く。aptX再生では個々の楽器が分離良く浮き上がるが、音像は細身で明瞭度も高い。ウッドベースの胴鳴りも艶良く伸びやかでむちっとした響きの豊かさを締まり良く表現。一方aptX HD再生ではアタックの甘さが僅かに感じられたピアノのタッチもキレ良くクリアになり、ウッドベースの弦はニュアンス細やかに描かれる。胴鳴りの響きも引き締まり、アタック、リリースをにじみなく表現。ドラムセットの厚みも出て落ち着き感が増す。ピアノのハーモニクスはレンジが広がり、より低域の豊かさを実感できるようになった。

ロック音源はデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit)を用いてみたが、aptX再生ではエレキギターのリフを軽快にまとめ、リズム隊は密度良く押し出してくる。ボーカルやスネアのエッジはくっきりとしているが細身だ。高域はシャープではあるが、シンバルの余韻など瑞々しい響きも垣間見せる。aptX HD再生ではエレキギターやスネアの切れ味が増すとともに、リズム隊の密度とアタックの締まりも向上し、分離の良さと音像の存在感を両立。程よい肉付きを持つボーカルは口元のニュアンスも細やかで質感の滑らかさも増している。余韻はクリアで階調細かく、より丁寧な音場が展開。よりナチュラルで充実したトーンに進化した。

付属のケースは軽量ながらヘッドホンをしっかり守ってくれるセミハードケース


あえて今回は有線環境での試聴を行わなかったが、ATH-DSR9BTのaptX HD・Bluetooth接続での有機的で密度の高いサウンドはワイヤレスだとは思えぬもので、微細なニュアンスも丁寧に描き出し、量感も充実した、非常にクオリティの高い音色であった。

今回はテストを行わなかったが、USB接続による試聴にも対応。こちらも非常に完成度の高いサウンドを聴かせてくれる

ボイスコイルまでデジタル伝送を貫く純度の高さ、進化したDnoteテクノロジーの使いこなしも相まって、これまでの概念を覆す、情報量の豊かな次世代のワイヤレスサウンドを実感できる。ATH-DSR9BTにしか奏でることのできない、緻密なサウンドをぜひ味わっていただきたい。

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