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【特別企画】注目イヤホン × 10万円以下のDAP 3機種

DynamicMotionの同軸2Wayハイブリッドイヤホン「DM200H」を、人気DAP3機種で聴く

公開日 2016/10/20 11:19 土方久明
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・RADWIMPS「前々前世[movie ver.]」(FLAC 44.1kHz/16bit)

この楽曲も元気が良い高域と軽快な低域が印象的だ。ボーカルはバックミュージックと分離し明快に定位する。バスドラムなどの低域成分は、ローエンドの伸びに物足りなさを感じる部分もあるもののスピード感があって良い。かすかに聞こえるボーカルのリバーブ成分が頭内に明瞭に広がるモニターライクな表現力も備えている。本曲を聴いて、NW-A35と本機の組み合わせは価格以上に十分に楽しめる印象だと感じた。

・宇多田ヒカル「道」/『Fantome』trac1(MP3 96kHz/24bit)

最初にプレーヤー自体についての感想になるが、価格差の大きさもあって、本曲ではボーカルのリアル感やリバーブの質感など、ハイレゾ音源としての表現力は他の2機種のプレーヤーよりも若干落ちる、しかし価格を考えるとそれでも高い再生能力を誇っていると言える。DM200Hで聴くとアキュレイトなトーンバランスの上にハイファイ的な音調を備え、バスドラムは迫力があるが、低域についてはもう少し締まった表現が正解かもしれない。

「DM200H」を様々なプレーヤーと音源で聴いてみてわかったこと

DM200Hは組み合わせるプレーヤーの能力を素直に引き出すイヤホンだ。複数のドライバーを同軸に配置できたアドバンテージは大きく、BAドライバー式のメリットである透明感のある音色と、ダイナミック型のメリットである力強い低音が狙い通り優れた位相特性の中で両立している。ただし低域は力感があるが少し膨らみを感じる時もあったので、制動力に優れたDAPとの組み合わせを推奨したい。

3機種のプレーヤーと様々な音源をリファレンスに聴き込むことで、DM200Hの魅力の本質が見えてきた

最後に余談だが、筆者が普段リファレンスにしているクラシック音源を試しに本機で再生してみたら素晴らしかったので、その感想を付け加えておきたい。楽曲は「クラシック、アンドレア・バッティストーニ - イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集 - 歌劇《アイーダ》より凱旋の合唱」(192kHz/24bit)である。

今回この曲は試聴するつもりはなかったのだが、サウンドステージの再現能力があまりに優れていたので聴きたくなってしまったのだ。そして想像通り、オーケストラの左右の広がり、頭内に定位する男女コーラスの位置関係までも把握できる素晴らしい空間再現性に感心、DM200Hの実力を実感することになった。

開発の苦労は想像に難くないが、DM200Hはドライバーユニットを自社で開発設計できるDynamicMotionの技術力が生かされた好例だと言える。個人的には、この画期的な構造を自慢できるスケルトンモデルの発売を期待したい。



土方久明

ネットワークオーディオやPCオーディオなどハイレゾを始めとしたデジタルファイル再生に精通する新世代の評論家。Net Audio、アニソンオーディオ、オーディオアクセサリー誌などの専門誌に広く執筆を行う。Hi-Fiカーオーディオコンテストでの審査員や、9月に開催されたインターナショナルオーディオショウでも講演を行うなど、今業界の注目を浴びている若手評論家の一人である。




特別企画 協力:サエクコマース

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