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角田郁雄のオーディオSUPREME

dCS「Rossini Player」を聴く。独自の5bit Ring DACが奏でる唯一無二のサウンドとは?

公開日 2016/02/10 10:27 角田郁雄
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演奏者をどこまでも克明に描き分けるネットワーク再生

この状態でLANケーブルをRossini Playerに直接接続して、ネットワークプレーヤーとしてハイレゾを再生した。曲はオーディオ愛好家の間でもおなじみの『Jazz at the Pawnshop』の2.8MHz DSDだ。特に7トラック目の「Take Five」がすごい。重厚かつ分厚く響くサックス、音の明瞭度が突出したピアノ、ボトムエンドまで伸びたベース。あまりの解像度の高さと俊敏な音の立ち上がりには、素直に驚かされた。しかし、さらに注目したいのはドラムスのインタープレイだ。素晴らしい高速レスポンスで、音圧が胸に響く。シンバルの響きは生の音に近く、全曲通して聴くと、アナログレコードの再現を上回っているのではないかという印象を受ける。

「dCS Rossini」アプリと組み合わせて、ネットワーク再生のクオリティも確認した

キース・ジャレットのライブ『The Keln Concert』(96kHz/24bit)では、厚みがあって透明度の高いピアノが、CDでもレコードでも味わえない美音の世界を聴かせる。この音に魅了されて、立て続けにキース・ジャレットのトリオによる『Changes』(192kHz/24bit)も聴いた。このアルバムではキース・ジャレットの演奏のリアリティが際立ち、ジャック・ディジョネットのドラムスでは、タムやシンバルの響きの質感が良くわかり、その微細な響きも鮮明となる。ゲイリー・ピーコックのベースでは、弦が指板にばちばちと当たるときの弦の震えが見えるようだ。各プレーヤーが丁々発止する様子を克明に描くところに、Rossini Playerの音作りが見えてくる。



dCSのRossini Player/Rossini DACは、往年のスタジオモデルを昇華させ、30年以上の歴史を誇るCDとハイレゾが内包する音楽情報を高い次元で、リアリティに富んだアナログ音声に変換しすることで、私たちを魅了してくれる。コアとなる技術は第8世代の最新5bit Ring DACだ。末長く愛用できるCDプレーヤー、ネットワークプレーヤーとしての機能を搭載するDACを検討する方は、ぜひ一度、本機の音に触れてみて欲しい。



【筆者プロフィール】
角田郁雄
北海道札幌市生まれ。父の影響を受け、オーディオに興味を持つ。セールスエンジニア的な仕事を経験したので、物の原理や技術を追求してしまうタイプ。オーディオブランドの音、背景にある技術、デザインの魅力を若い世代にも伝えたいと執筆活動を始める。




〜編集部より〜
モニターライクな音と音楽性に富んだ音というのは相反するものという先入観があり、こうした考えを補強する試聴体験も、これまで実際に少なからずあった。しかし、今回体験させてもらったRossini Playerの音、あるいはVivaldiフルシステムの音に、究極的なモニターサウンドによって、ソースが内包する音楽性をとことん引き出されたらどうなるのかを垣間見た気がした。(編集部:小澤)

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