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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第137回】“花澤病ライター”が花澤香菜ソングスにぴったりなヘッドホンをコーディネート!

公開日 2015/11/04 10:00 高橋 敦
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■恋愛サーキュレーション×Sony MDR-CD900ST+YAXI


声優シリーズの前回「人気キャラソン×高CPイヤホン」であの曲がピックアップされていなかったことに巨大な違和感を感じ疑問を覚えていた方もいらしたかと思う。

…温存しておいた! いつかやってやると決めていた花澤香菜さん単独企画のために温存しておいたぞ! 千石撫子(CV: 花澤香菜さん)「恋愛サーキュレーション」だ!

キャラソンであるが超人気曲。しかしキャラソンであるのでこれまでにライブで披露される機会はなく、今回のツアー初日、武道館のアンコールに登場した花澤さんが会場を静かにさせて冒頭のフレーズ「…………せーの!」を囁いた瞬間には観客は何が起きたのかを理解できず反応できず、そして一瞬あとの理解で大歓声が起きた!

そんなこの曲がどんな曲かというと…説明いらないですよね。ここまで読んで下さっているような方々ならみんな知ってますよね。

ヘッドホン選びは、ポップスでは多くの場合ベースが担当する低音パートを管楽器(チューバ?)に割り振っているといったアレンジの面白さ…とかは気にせず、この企画の真のラス曲でもあるし歌い方や歌詞、録り方やミックスとかからしても、「声の生々しさ声の近さ絶対重視」でいくことにした。

そこ絶対重視で選んだのがスタジオモニターのド定番、Sony「MDR-CD900ST」だ。本体実売1万5000円ほどのそれに、今回はサードパーティのイヤーパッド、YAXI「YAXI for studio headphone」を組み合わせている。この状態での参戦となったのは単にこのモデルが僕の私物でそのように換装してあるからだ。標準のイヤーパッドから装着感大幅向上、音の当たりはやや控えめ、音の厚みはややアップといったような変化がある。

左右のイヤーパッドの色が違って左右判別しやすいのはYAXIが提供してくれているカラバリのおかげ

「CD」「DIGITAL」といった「当時に最新だったワード」が時代を感じさせるがまだ現役!


なんか頼りない作りに見えるかもだが、この個体は僕が特に丁寧にでもなく20年弱使い続けてきてノートラブル

YAXIのイヤパ。音の変化の良し悪しは人それぞれだろうが、装着感については「向上」「改善」と表現しても異論は多くないだろう
ということでこのヘッドホンでこの曲を聴く最大の理由は前述のように「声の生々しさ声の近さ」だ。「近さ」というのは「ヘッドホン不可避の弱点、頭内定位」なんて受け止め方もある。そしてこのモデルはその傾向が強めだ。しかしこの歌をこの狙いで聴く場合にはその弱みこそが最大の強みになる。

さらにこのヘッドホンはミュージシャンがレコーディングの演奏時に利用するプレイングモニター用途が本業であり、それに合わせた特性としてか、音の頭のアタックも超明確だ。アタックの明確さは音程の明確さと並んで演奏性に大きく影響するので当然と言えるだろう。

そのアタックの明確さもこの曲にフィットする。特にラップっぽく滑舌というかキレを強調した歌い方の部分。サ行のシャープさだけでなくカ行やタ行のアタックがカチッと立っているので、その歌い方のリズムが際立つのだ。例えば以下の歌詞でカタカナにしたカ行とタ行を意識してみてほしい。

「言葉にすれば消えちゃう関係」
「コトばにすればキえチゃうカんケい」

このヘッドホンで聴くとそこがカチッと気持ちよく強まり、言葉のリズムの面白さが高まる。こちらの作詞のmeg rockさんも「こきゅうとす」のやくしまるえつこさんと同じくご自身がシンガーであるし、カキクケコタチツテトで言葉にアクセントを付けるのは、意識的にせよ無意識的にせよあるいは身体感覚としてなのか、彼女の狙いなのではと思う。そこを満喫できる。

なお楽器においてもこのヘッドホンは、ギターのカッティングのパキッとした硬さやドラムスのデジタルローファイ的な荒い質感などでこの曲との相性の良さを見せてくれる。

■本当のエンディング

さて「恋愛サーキュレーション」をもって今度こそ本当にこの記事は終了。おつきあい本当にありがとうございました。「まだ花澤成分が足りねえ!」という重篤な花澤病患者の方は各自、お手持ちのお気に入りのヘッドホンでダブルアンコール「I LOVE NEW DAY!」をお楽しみいただければと思う。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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