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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第137回】“花澤病ライター”が花澤香菜ソングスにぴったりなヘッドホンをコーディネート!

公開日 2015/11/04 10:00 高橋 敦
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■こきゅうとす×AKG K812


大ファンだというその人の魅力を問われた花澤さんはこう答えた。

「声がかわいい」

天使の声を持つと言われる花澤香菜さんに「声がかわいい」と言わしめる超越者。それがやくしまるえつこさんだ。この「こきゅうとす」は作詞作曲含めてそのやくしまるさんのプロデュースということで、アルバムの中でも「異質なまま溶け込む」といったような特殊な存在感を発揮している。

実は僕は花澤香菜さんのファンになるよりも前からやくしまるえつこさん/相対性理論のファンでもあり、この組み合わせは「僕得」ではあった。しかし同時に「いくら花澤さんでもやくしまるさんの曲ではやくしまるさんご自身が歌うのには及ばないのでは…」という危惧もせずにはいられなかった。しかも僕は花澤さんの「こきゅうとす」をライブで体感する前に相対性理論のライブでやくしまるえつこさんが歌う「こきゅうとす」を体感してしまいそれに圧倒されてしまい、「これ…無理でしょ…」という気分になってしまっていたことをここに告白し、懺悔しておきたい。

だが!武道館で披露された"花澤香菜の"「こきゅうとす」もまた圧倒的なものだった!あの声質や発声であの安定度と表現力で歌えるのは稀有すぎると思っていたのだが、この時代にその才能がいてくれるとは…それも…2人も同時にだ!

ということでヘッドホンだが、圧倒には圧倒で応えるべく超ハイエンドモデルを投入。実売17万1,000円程度のAKG「K812」だ。

完全室内想定(ポータブル無理)な超ハイエンドなので今回ではこれがいちばん大柄

AKGハイエンドと来れば期待通りの開放型


ここまでの開放っぷりは他にあまりない

イヤーパッドは高級機なのでやはり革。大きさ重さの割には…と考えれば装着感も悪くはない
このモデル、AKGのフラグシップなのにあんまりAKGっぽくない気もする高域の鋭さや輝きが特徴で、僕はそこも気に入っている。そしてその部分がこの曲での花澤さんの声や歌い方(やくしまるさんのそれとも)と相性ばっちりなのだ。

冒頭に「体が裂かれそう裂かれそう裂かれそう裂かれそう叫びだしそう」という一節がある。「ボーカルのサ行が刺さる」といった表現があるが、そういう意味ではサ行連発で刺しまくり刺されまくりの歌詞だ。

「さかれそうさかれそうさかれそうさかれそうさけびだしそう」

しかしこの歌詞、意識的にか無意識にかはわからないし、花澤さんの声を意識したのかやくしまるさんご自身の声を意識したのかもわからないが、彼女たちのその声質だからこそ、歌の音のアクセントとしてサ行を多用しても嫌な刺さり方にはならず、むしろ気持ちよく刺さることを理解っていて書いた歌詞なのではないだろうか。そう思ってしまうほどに気持ちよく刺されまくる。彼女たちのあの声質あってこそのこの歌詞、「裂かれそう裂かれそう裂かれそう裂かれそう叫びだしそう」だ。

そしてその刺さる歌詞、刺さる声の感触を素晴らしく見事に届けてくれるのがK812だと、そういうわけだ。そこに限らず声の息の成分を刺しにしても掠れにしても素晴らしく綺麗に鋭く描き出してくれるので、花澤さんややくしまるさんの歌にはだいたいどれでもぴったり。そのお二人やそれに類する声の方がお好きな方には超おすすめ…と言いたいところだがお値段がお値段なので気軽におすすめはしにくかったりはするが。

声の他の部分も見事なもので、例えば開放型ハイエンドらしい自然な空間性を発揮した上でその空間の中央にぽんと浮かび上がるようなベースの立体感も特筆できる。

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