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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第137回】“花澤病ライター”が花澤香菜ソングスにぴったりなヘッドホンをコーディネート!

公開日 2015/11/04 10:00 高橋 敦
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■Trace×Sony h.ear on(MDR-100A)


クラムボンのミト氏がニューヨーク→スティング!で「Shape of My Heart」を意識して作曲編曲したらしい一曲。そのことをストレートに宣言するかのようなアコースティックギターのフレーズも曲の顔のひとつだ。都会の華やかさや喧騒の中だからこそ静寂や感傷がさらに際立ってしまうときもある。そんな瞬間、そんな雰囲気を描き出したかのような曲と思える。ライブでは「タップダンスの音が聴こえてきたら」をタップダンスパフォーマンスを交えながら歌った後にこの曲という流れで、空気をまたも一変させていたことも印象的だった。

ともあれこの曲の聴きどころはやはり、花澤さんの声がこれでもかと無数に重ねられていくコーラスワークに尽きる。これを満喫できる声の表現や空間性、立体感を備えることは、この曲のためのヘッドホンには絶対条件として求めたい。それを満たした上でどのような感触や傾向で楽しむかだ。

で、今回はSony「h.ear on(MDR-100A)」を選んでみた。実売価格は2万4,000円あたりだ。

単純な艶消しというわけでもない絶妙の仕上げ。なおカラーバリエーションも豊富

ハウジングを内側に折り込むタイプの折りたたみ機構を採用


多数のカラバリのすべてにそれと同色のケーブルを添付する凝りっぷり

装着感は軽いが緩くもなく快適
このモデルは音色も空間もほどよい明るさでぱっと広がる印象。なのでこの曲の感傷的な雰囲気をしっとり系で味わいたい場合は他のモデルの方が合うかもしれない。しかしこの曲から例えば「ニューヨークの公園の曇り空に天使の歌声でぱっと光が射す」みたいな光景をイメージするのであれば、このモデルは心地よい明るさでその雰囲気をまさにそのように描き出してくれる。

そして絶対条件として挙げた「声の表現や空間や立体感」については、外でも使いやすくてデザインも凝っている密閉型としてこのモデルは上位ランクだ。特に先ほど述べた「明るく広がる空間」というのは、言うならば「ホールが上質で均一な照明で照らされているような見晴らしの良さ」だ。その広くて見晴らしの良い空間を背景とするからこそ、花澤 on 花澤 on 花澤 on 花澤 on ……のコーラスワークが見事に映える。左右の定位も広く再現されるし、明るい空間はリバーブの響きも明瞭なので、それによる前後の立体的な配置もわかりやすい。

もちろん、花澤さんの声の感触もよい。前述のようにどちらかといえばしっとり系ではなく明るい感じだが、しっとりさも明るい響きもどちらも花澤さんの声の多くの魅力の一要素。そのどちらを特に引き出すのかということであって、明るさの方を強く引き出すタイプのモデルでもその方向性でのレベルが高ければ、花澤さんの声を堪能できるヘッドホンであることに違いはない。例えば声の湿度感が控えめになることで、絶妙な掠れの成分の魅力とかはより強く感じやすかったりする。

楽器についてはアコースティックギターの音色の弾けのよさが特に好印象だ。歌に対して主張しすぎずしかし耳を向ければ実によい音色という、理想的なバランス。

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