フルサイズ筺体のバランス駆動対応

【レビュー】あの銘機の開発者が設計。新星ブランドConclusionのヘッドホンアンプ「C-HA1」

岩井 喬

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2015年08月18日
「C-HA1」の内部構成

ヘッドホンアンプの詳細な構成についても紹介しておこう。パワーアンプ部はDCサーボ採用4chディスクリート構成となっており、電圧増幅段は初段にFET差動カスケードアンプを配した2段増幅構成で、オープンループゲインを低く抑え、NFB量も控えめとした、強弱のある音楽信号への追随性を求めた動特性重視設計としている。

パワーアンプ部

また、電圧増幅部の電源供給においては各ch独立の定電流シャントレギュレーターを用いることで、ch間の相互干渉を抑えるほか、音楽信号によって変動する出力段からの影響を受けないよう配慮された。一方の電力増幅段は8つのパワートランジスタを搭載しているが、各ch、16Ω負荷で1WまではA級動作を実現。その放熱と鳴き防止においては3mm厚L字アルミアングルとベース厚6mmのアルミ押し出しヒートシンクを組み合わせた、重量220gのスタビライズドヒートシンクを用いている。

この出力段のDCオフセットや過電流検出を行うプロテクター部にはヘッドホンならではの繊細な描写力を損なわないよう電流遮断特性や長期間の安定性をも考慮し、ツインクロスバー接点をシールドカバーに封入した高信頼タイプのヘッドホン保護リレーを採用した。

加えてスピーカー保護回路には専用の独立大電流・極小ON抵抗を誇るPower MOS-FETによる半導体スイッチを搭載。安全に留意しつつも機械的接点を設けない純度の高い伝送を可能とした。

さらにバランス/アンバランス変換を行うコンバートアンプ部には超低歪率・ハイスルーレートなFET入力オペアンプ「OPA2134」を導入。この電源部にも独立した定電流シャントレギュレーターを設けるとともに、最短の信号ループで変換を行い、信号の純度を落とさないよう努めているという。

コンバートアンプ部

電源部

そして電源部においては、磁束漏えいを極力抑えた大容量Rコアトランスを採用。電圧増幅部のシャント電源やパワー段、さらにはアクセサリー回路の電源など、セクションごと(パワー段はBTL駆動のchごと)に巻き線が独立した構造で、整流にはファストリカバリーダイオードやショットキーバリアダイオード、高音質なブロック型電解コンデンサーを設けた高速かつ大容量な回路設計としている。これにより音楽信号に対して瞬発力の高い供給を実現するとともに、音が消え去る余韻の静寂性も的確に表現できるという。

使いこなしの提案

本機の特徴となっているのはスピーカー接続が可能な点だろう。過去に同様の機能を持った製品がなかったわけではないが、ヘッドホン再生の世界に終始するのではなく、スピーカーならではの音場豊かな空間再生を楽しめる醍醐味をも実現した点はかつての華やかりしオーディオブームを知る設計者ならではの粋な計らいといえるのではないだろうか。

ただしこのBTLスピーカーモニター機能を使う場合、入力ソースはXLRバランスか、RCA-XLRモードでアンバランスからバランス変換したものに対応しており、スピーカーのインピーダンスも8Ω以上のものが指定されている。

スピーカーモニタースイッチを押し、出力インピーダンスセレクターはDirectを選択。LEDが青く点灯すれば使用できる状態となる。8Ω負荷時で8W×2という小出力なスペックなので、能率が84dB以上の高効率なスピーカーとの接続が推奨されているが、パワーバンドが広いため、数値以上の聴感音圧を得られるという。

前述したようにヘッドホン特有の頭内定位再生の枠を飛び越え、スピーカーの持つ空間再生ならではの立体的な音像定位や位相確認が可能となる。将来的にヘッドホン環境からスピーカー環境へのステップアップを図りたいというユーザーにとっても魅力的な選択肢といえるだろう。

「SRH1840」と「HD800」を使って試聴

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