「Apple Music」レビュー。ストリーミング音楽配信 “本命” の実力とは？

Apple MusicのインターフェースはiTunes Storeに慣れているユーザーであれば違和感なく、スムーズに使いはじめられるだろう。メニューの配置や色使いもシンプルかつクリーンにデザインされている。「For You」のレコメンドに、自分が全く興味のないアーティストやジャンルばかり並ぶのが多少イラっとくるが、中には当たらずとも遠からぬコンテンツも出てきているようなので、しばらくは学習アルゴリズムの成長を期待して待ちたい。

「New」ボタンを押すと、色々な新しい音楽との出会いが見つけられそうで、徐々に気持ちが高ぶってきた。ヒットチャートからのおすすめを紹介する「注目トラック」や「最近のリリース」、新人アーティストの作品が多く集まる「注目のConnect：オーディオ」などには、まだ聴いたことのない音楽との出会いが秘められていそうだ。

Apple Musicのエディターによるチョイスや、Rolling Stone／NME（New Musical Express）など音楽誌が推薦する楽曲を集めたキュレーターのプレイリストなども参考になりそうだ。

全体的に邦楽のリコメンドが弱い感じも受けるが、Apple Music Editorのプレイリスト内を深掘りしていくと「J-POP」セレクションも用意されている。画面を一番下までスクロールすると「はじめての」というテーマで切られたプレイリストが勢揃い。ぱっと見だとJ-POPのレガシーなビジュアル系バンドが多いみたいだが、これはこれで、多くの人に出会いを提供してくれそうだ。

数多くのプレイリストやアーティストから、気に入ったものを見つけたら「フォロー」することで、自分の趣味嗜好に合致したアーティストやキュレーターによるプレイリストの一覧をカスタマイズすることもできる。

フォローリストはユーザーの「アカウント」の中につくられ、おそらくその内容は後々「For You」にも反映されてくるのだろうが、フォローリストからアーティストのメインページに飛ぶことができない。個別のアルバムや楽曲ごとに「My Music」へ登録もできるので、後からアーティストや曲の一覧でソートし、聴きたいタイトルを再生するといった使いかたが実用的だろう。

■弱点は楽曲数よりもその内容。音質設定機能も非搭載

解説をここまで進めておきながら、そもそもの話に立ち戻ってしまうが、Apple Musicの収録楽曲はどんな感じなのか？　オフィシャルには「数百万曲以上」を謳っていて、レベル的にはAWAの数百万曲と並び、LINE MUSICの150万曲を上回るらしいのだが、実際に検索してみるとApple Musicの楽曲のラインナップはAWAやLINE MUSICに比べるとかなり洋楽寄りで、多くの邦楽ファンにとって物足りなく感じられると思う。

サザンオールスターズやビートルズといった東西のビッグアーティストは言わずもがな、AWAやLINE MUSICでカバーされているポピュラーな邦楽アーティストも、その多くが見つからない。ほんの一例をあげるなら松田聖子やJUJUなどがヒットしない。

反対にマイケル・ジャクソンやマドンナなど、洋楽アーティストの作品はそこそこ充実している。ジャズやクラシック系のタイトルも、収穫はまずまずといったところ。ときどき動画コンテンツもヒットするのがApple Musicならではと言えそうだ。