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LINE MUSICやAWAと直接対決

Apple Musicは日本で、そして世界で勝てるのか? 元洋楽ディレクターが分析

2015/06/12 本間孝男
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■LINE MUSICがサービスイン。国内のストリーム・ミュージックはどうなる?

Apple Musicは日本でも公式の案内ページが公開され、開始時期に関しては「まもなく登場」となっている。大手全国紙でも6月30日開始と書かれているくらいだから、すでに交渉は終っているのだろう。

欧米主要国と異なり、日本の楽曲の権利は、ソニーを除いてレコード会社が所有していない場合が多い。せめてiTunes Store並に国内の音源を頑張ってもらえれば、かなり満足できる音楽環境になりそうだ。米国の場合、3大メジャーを押さえれば約80%近いシェアとなり、各オンラインミュージックのサービスの標準的な曲数である2,000万〜3,000万曲に達する(ただしインディーを入れないとアデルの大物アーティストが対象外となってしまう)。

これを日本の楽曲に当てはめると、世界の3大メジャーと組んだだけでは約3割程度しか対象とならず、カバーするサービス対象曲も1,000万曲を切ってしまう。邦楽レーベルとの交渉によって、米国での曲数の約半分程度の楽曲が用意できれば、まずは上出来なのではないだろうか。

そして、ちょうどこの原稿を書き終えるのとタイミングを同じくして、かねてより近日中のサービスインが予告されていた「LINE MUSIC」が、iOS/Androidのアプリ提供を開始。6月10日より実際にサービスが利用可能となった。

LINE MUSICのアプリ画面

無制限のプレミアムプランは月額1,000円(iOSは1,080円)だが、20時間まで使えるベーシックプランは500円。そして学割も設定され、プレミアムプランは月額600円、ベーシックプランは月額300円で使える。また8月9日までは無料で楽曲が聴き放題となっている。

LINE MUSICにはユニバーサルが資本参加し、海外カタログで欠けているのは3大メジャーのうちワーナーのみ。SNS運営の強みを生かしたサービス展開や、アーティストが直接参加するようなSNSが実現して、サービス全体が連携したエコシステムが構築できれば、ここ日本においてはApple Musicにひけを取らない可能性もある。

AWAのアプリ画面

一方、5月より一方先行してサービスを開始していた、エイベックスとサイバーエージェントによる音楽ストリーミング「AWA」は、専用アプリが2週間で100万ダウンロードを突破したと発表した。ちなみに「AWA」が、月額360円の「Lite Plan」と月額1,080円の「Premium Plan」の2種類が用意され、現在は3ヶ月無料で利用可能となっている。

■日本国内の音楽ストリーミングのゆくえ

「Apple Music」の発表と前後して登場した「AWA」と「LINE MUSIC」。Apple Musicは日本での価格も、サービス開始日もまだアナウンスされていないのだが、主導権を握るのはどのサービスになるのだろうか。価格、そして邦楽タイトルをどれだけ充実させられるかがカギになることは言うまでもない。

音楽ストリーミングが本当に日本に根付くのか、という疑問の声もある。日本は昨年2014年でCDやレコード売上の比率が78%を記録するという、世界でも特異な環境なのだ。しかし「着うた」は、最盛期の2008年にユニークユーザーが約2,000万人もいた。日本の音楽ストリーミングの有料会員が数千万単位になっても、なんら不思議ではない。

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