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LINE MUSICやAWAと直接対決

Apple Musicは日本で、そして世界で勝てるのか? 元洋楽ディレクターが分析

公開日 2015/06/12 11:26 本間孝男
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日本時間6月9日、アップルによる音楽ストリーミングサービス「Apple Music」がついに発表され、日本へのサービスイン予定もアナウンスされた。一方で6月10日には、日本国内で「LINE MUSIC」がサービスを開始。日本でも続々と音楽ストリーミングサービスが開始される中で、Apple Musicはどのように受け入れられるのだろうか。元洋楽ディレクター、本間孝男が最新動向を分析した。

>>本間氏による世界の音楽ストリーミング配信総まとめはこちら

■Beats Musicをベースに構築された新ストリーミングサービス「Apple Music」

米国時間の2015年6月8日 午前10時(日本時間では6月9日 午前2時)、サンフランシスコで開催されたアップルの年次開発者会議(WWDC 2015)で注目の新サービス「Apple Music」が発表された。

Apple Musicの日本語公式サイト。「まもなく登場」とアナウンスされている

翌朝、日本の全国紙の朝刊にも「アップル 3000万曲 聴き放題 - 30日開始 日本も予定」の文字が踊り、かなりのスペースが割かれた。日本国内でもストリーミングサービスが本格導入される兆しがあり、国内も激戦が予想されるとも報じている。日本も音楽ストリーミング普及のグローバルな流れのまっただ中に、ついにさらされたのだ。

米アップルは昨年5月、定額制音楽ストリーミングサービス「Beats Music」を傘下に持つBeats Electronicsを30億ドル(約3,300億円)で買収。Beats Musicをベースに、アップルのiTunes Music(ダウンロード販売)を大幅に改定した新サービスで参入を狙っていた。

Apple Musicのプレゼンを行うティム・クックCEO

ストリーミングサービスとは、音楽をインターネット経由でダウンロードしてから再生するのではなく、受信しながらそのまま再生するもの。基本的に手元に音源は残らない。ストリーミングには2種類あり、ひとつはSpotifyに代表される、定額で無制限試聴サービスが受けられるインタラクティブ・サービス。もう1つは世界最大の会員(8,000万人)を擁する米国のPandoraに代表されるノンインタラクティブ・サービスで、これはラジオ放送とほぼ同じ。局側が作成したプレイリストが自動演奏され、好きに曲を選ぶことはできない。いずれのサービスも標準的に2,000万曲以上の楽曲ライブラリーを用意している。

Apple Musicは、基本的に前者のタイプの音楽ストリーミングサービスだが、様々なサービスを従来の音楽ダウンロードに統合し、提供していることが特徴と言える。

■ストリーミング・ネットラジオ・アーティスト交流SNSを統合

Apple Musicは、音楽ストリーミング、ネットラジオ「Beats Music」、アーティスト交流SNS「Connect」などの機能を統合しているが、コアとなるのは有料の定額制音楽ストリーミングとなる。3,000万曲のライブラリー(iTunes Musicと併用)が利用でき、サウンドクオリティはAACの256kbpsのビットレートが採用されているという。

Apple Musicのアプリのイメージ

Apple Musicを主に構成する3つの要素には、有料のものと無料のもの(無料部分はサービスに加入できなくても楽しめる)がある。以下のようにまとめてみた。

1)音楽ストリーミング:楽曲と音楽ビデオを自由に視聴できる機能(有料部分)
2)Beats 1:24時間生放送を世界に向けて行うネットラジオ(無料部分)
3) Connect:アーティストとファンを繋ぐ場所。アーティストのプライベート写真やデモ素材が置かれる。(無料部分)
4)My Music:これまでの「ミュージック」アプリで提供されていた、手持ちの楽曲ライブラリー部分(購入は有料)

Apple Musicは、世界100カ国で6月30日に開始される。日本で導入することはアナウンスされているが、日本も6月30日にサービスインするかどうかは現時点で明言されていない。米国でのサブスクリプションの価格は月額9ドル99セントで、音楽ストリーミングでトップを走るSpotifyと同額。6人まで利用できる14ドル99セントのファミリープランも用意されている。また詳細は後述するが、お試し期間として最初の3ヶ月は無償で利用できる。

Apple MusicのUIは、MacではiTunes、iPhoneやiPadではMusicアプリと統合されるが、すでにSpotifyやBeats Musicを十分に楽しんでいる海外では、「賞賛」と「期待外れ」の両方の反応が出ているようだ。

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