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LINE MUSICやAWAと直接対決

Apple Musicは日本で、そして世界で勝てるのか? 元洋楽ディレクターが分析

公開日 2015/06/12 11:26 本間孝男
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■手持ちの音楽ファイルとクラウド上の膨大なライブラリを統合して楽しめる

Apple Musicに加入すると、ローカルディスク上の手持ちの音楽ライブラリがApple Musicによってスキャンされ、Apple Musicのライブラリーと照合がされる。iCloudと呼ばれるクラウドサーバー上にこのデータがアップされているので、共有するデバイス全てにライブラリーが反映される機能だ。自分の楽曲コレクションを自分が持っている他の全てのデバイスで視聴できる。要はiTunes Matchとほぼ同じ機能だ。

アップルでは、手持ちライブラリーとストリーミングサービスは、補完的ながら独立したものと述べている。Apple Music上の楽曲を「お気に入り」に追加したものと、自分のローカルに保存している音楽ライブラリを統合し、分け隔てなく聴くことができるようになると思われる。

■レコメンド機能とプレイリストに力を入れていく

様々な要素を総合的に融合したレコメンド機能が「For You」だ。新しい音楽体験を可能にしてくれる“プレイリスト”もここから探すことができる。アルゴリズムに基づいて楽曲をお薦めしてくれるだけでなく、お薦めやプレイリストの作成にはアップルの専門スタッフも関わっている。ちなみに、WWDCのプレゼンで副社長のエディー・キューが再生したキューバン・ミュージックのプレイリストは良さそうだった。ぜひ使ってみたい。また新曲や新人ミュージシャンの楽曲だけではなく、未知のインディーアーティストを発掘するようなレコメンドも積極的に行っていくとのことだ。

レコメンド機能「For You」はBeats Musicで採用されていた機能だ

iOSではSiriを使った検索機能も強化され、口頭での検索で好きな曲を呼び出すことが可能となった。基調報告でのエディー・キューのSiriを使ったプレゼンは印象的だった。

■24時間/週7日オンエアされるネットラジオ「Beats 1」

世界に向けたネットラジオ「Beats 1」には、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンから放送が行われる。ここには「Beats」の名前が残された。統括するのは英国のBBC1の人気DJだったZane Loweで、LAのチームを率いる。スタジオはLA西部カーバシティのBeats本社。NYCのチームを率いるのはニューヨークの放送局プロデューサーのEbro Darden。ロンドンのチームを率いるのは新人のJulie Adenuga(ラッパーのJMEとSkeptaの妹だ)。

ネットラジオ「Beats 1」は新規ユーザー開拓の要として期待される

Beats 1はプレイリストを機械的につなげてプログラムを流す通常のインターネットラジオと異なり、人の手による24時間生放送となる。音楽業界の関係者は「これこそが新規参入するApple Musicへユーザーを誘うキーポイント」だと語っているという(The Verge)。

■アーティストと直接つながれるSNS機能「Connect」

Apple Musicにはアーティストと交流可能なSNSサービスも用意された。「Connect」だ。アーティストは楽曲やミュージックビデオだけでなく、オフステージ映像や写真などを独自ページに公開することで、ファンと直接交流することが可能。ファンとアーティストを直接つなげるエコシステムを狙っている。ファンはアーティストから投稿されたコンテンツにコメントが可能で、Facebook、Twitter、メールなどでもそれらを共有できる。

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