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各社ヘッドホンと組み合わせて実力チェック!

マランツ「HD-DAC1」レビュー(後編):ヘッドホンアンプとしての実力を野村ケンジが検証

公開日 2014/11/07 10:30 野村ケンジ
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ゲイン切り替えで音質の変化も楽しめる

HD-DAC1が搭載するヘッドホンアンプのゲイン切り替え機能にも注目したい。こちらは、ヘッドホンの幅広いインピーダンス特性に対応すべく、「Hi」から「Lo」まで3段階のゲイン切り替えが用意されている。このゲイン切り替えだが、そもそもHD-DAC1のヘッドホンアンプ部は非常に大きなパワーを持ち合わせているため、それを贅沢に活用することができるのだ。

HD-DAC1に様々なヘッドホンを組み合わせて、その駆動力や再現性を確認した

HD-DAC1のゲイン切り替えは、電圧増幅段にフィードバックする電流量をコントロールすることで増幅度を調整しているのだが、結果、各ポジションによる音質的な変化も楽しめる。愛用のヘッドホンにぴったりのポジションを探りながら、自分好みのサウンドに微調整できるのは嬉しいポイントだ。

アンプに高い性能が要求される「Q701」を悠々と鳴らす

さて、ここからはヘッドホン出力にフォーカスして、「HD-DAC1」のサウンドキャラクターをインプレッションしていこう。まずは、AKGの「Q701」から。ご承知の方も多いと思うが、実はこのQ701、バランス良く鳴らすためにはヘッドホンアンプ側に結構な駆動力の高さ(特に低域)と帯域バランスの良さを求める傾向にある。良質のヘッドホンアンプを組み合わせないと、高域ばかりが目立つ、聴きにくい音になってしまうのだ。

AKG「Q701」¥OPEN(市場想定価格60,000円前後)

そんなQ701も、HD-DAC1は十全に鳴らしてくれる。ソリッドで、芯の強い低域がグイグイと押し出されてきて、それが伸びやかでピュアな高域と合わさり、ボーカルや楽器の演奏を一段と際立たせてくれる。同時にストレスの無い、大きく広がる音場感をも楽しませてくれる。ここまでQ701の実力を発揮させてくれるヘッドホンアンプはそうそうない。この1点だけでも、充分に価値ある存在といえる。ちなみにQ701のゲイン調整に関しては、「Low」か「Mid」がオススメだ。

AKGの旗艦モデル「K812」とのコンビでは解像感、抑揚表現ともに文句のないレベル

続いてAKG「K812」で試聴。こちらはQ701に対してずいぶん鳴りやすいのものの、解像感や抑揚表現においてヘッドホンアンプの違いが顕著に出る製品だ。しかし、HD-DAC1で鳴らすと、解像感の高さ、抑揚表現の細やかさ共に文句なしのレベル。チェロのボーイングが弓の触りの感触まで手に取るように分かるくらい細やかなニュアンス再現を持つ。

AKG「K812」¥OPEN(市場想定価格150,000円前後)

オーケストラは、ダイナミックな表現を余さず表現しきると同時に、無音からフォルテッシモまで無限と思えるきめ細やかな階調表現で、コンサート会場の雰囲気をリアルに伝えてくれる。先のQ701といい、AKG高級モデルとの相性はなかなかに良い。なお、K812のゲイン調整に関しては、「Low」がオススメだった。

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