ハイレゾ音源からCDリッピングまでの音質を検証

マランツ「HD-DAC1」レビュー(前編):USB-DACとしての実力を山之内 正が聴く

山之内正

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2014年10月10日
マランツ初の単体USB-DAC/ヘッドホンアンプ「HD-DAC1」(マランツ特設ページ)。先日の記事では本機の詳細について、マランツ音質担当の澤田龍一氏にインタビューを行った(澤田氏インタビュー記事)。続いて今回は、HD-DAC1の主にUSB-DACとしての音質を山之内正氏が徹底レポートする。

Marantz「HD-DAC1」¥108,000(税抜)

USB-DACとしての空間再現力は「NA-11S1」や「NA8005」に匹敵する

HD-DAC1はUSB-DACとヘッドホンアンプを同じ筐体に収めているが、複合機にありがちな妥協や中途半端な部分は微塵も感じさせない。それどころかどちらのブロックにも独創性とこだわりがうかがわれ、外見と同様に再生音にも高い完成度が期待できそうだ。早速聴いてみることにしよう。

試聴はディーアンドエムホールディングス本社のマランツ試聴室で行った

試聴はマランツ試聴室にて行った。まずは本機のUSB-DACとしての性能を検証するために、ライン出力(固定)をプリアンプ「SC-7S2」につなぎ、「MA-9S2」を組み合わせてB&Wの800 Diamondを駆動した。ハイエンド機器で構成したアンプ以降のシステムに対し、ソース側はMacBookAirに保存したハイレゾ音源をAudirvana Plusで再生するというシンプルなものだ。両者をつなぐHD-DAC1はシステム全体の音質を左右する重要な役割を担うことになる。

まずオルガン伴奏の合唱を聴く(192kHz/24bit FLAC音源)。演奏が始まる直前の暗騒音を聴いただけで音場の絶対的な広さが伝わり、礼拝堂の奥行きの深さや天井の高さが目に浮かんだ。旋律だけでなく足鍵盤が受け持つ超低音域も一音一音の音色と動きを忠実に再現し、もやもやとした曖昧さがない。澄んだ低音が全体の響きを支えているためか、合唱のハーモニーもきれいに溶け合い、余韻の消え際まで空気の振動が体感できる。低い音域から柔らかい響きに包み込まれる感触はとても心地良く、耳というより身体全体を優しく刺激してくる印象だ。

『Dr. Chesky's Sensational, Fantastic, And Simply Amazing Binaural Sound Show』(192kHz/24bit HDTracks)

演奏された空間のパースペクティブを精度高く忠実に再現する能力は、同じマランツのネットワークプレーヤー/USB-DACである「NA-11S1」や「NA8005」の空間再現力に匹敵するものがある。デジタルアイソレーションシステムをはじめとする入念なノイズ対策が本機でも威力を発揮していることは間違いなく、ハイレゾ音源では特にその効果が大きく感じられる。

ハイエンドオーディオの領域に迫る表現力

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