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<山本敦のAV進化論>第10回

4K試験放送は結局どんな内容に? ー 詳細や今後の戦略をNexTV-Fに聞く

2014/05/28 山本 敦
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■どんな4K番組がみられるのか

Channel 4Kは開始当初は13時から19時までの6時間、フォーラム加盟の放送局各社が制作した4K番組がオンエアされる。「去年から今年にかけて、加盟放送局が制作トライアルしたドラマやスポーツ、音楽ライブなどの4K番組が15本ほどあり、これを開局当初はリピート放送します。個人のお客様だけでなく、販売店の店頭デモ用途も想定したことからこの放送時間帯になりました。

ただ、放送時間帯はおおよその幅で決定されたもので、例えば将来的に『スポーツ中継をやりたい』という放送局が出てきたら、これに合わせて放送時間帯を後ろに伸ばすことも考えられると思います。また、今年の年末までに対応製品が増えて、個人のユーザー数増加が見込まれるようであれば、放送時間を夜遅くまで延ばすことも検討したいと考えています」(元橋氏)

インタビューのようす

なお、Channel 4Kでどんな番組が放送されているのかを知るためには、その都度テレビを点けてEPGで確認する必要がある。フォーラムのWebサイトで週間単位等のプログラムガイドを紹介していくなど、プロモーションも必要になってくるだろう。

なお、シャープのChannel 4K対応のレコーダー「TU-UD1000」は6月下旬からの発売が予定されているが、同製品が発売されるまでの間は、せっかく試験放送が開始されていても視聴できる環境が今のところ存在しない。対応機器の正式登場を待つよりも、とにかく一刻でも早く4K試験放送を開始することを優先したということだが、我々視聴者にとっては少し残念だ。電気店が行う店頭デモなどで、「TU-UD1000」発売よりも少し早めに視聴できるようになることを期待して待つほかない。


■“4K本放送”はいつから始まる?

本放送の開始時期についてはどんな見通しを持っているのだろうか。元橋氏は、試験放送と本放送の明確な区分けはないとしながら、フォーラムが提供している間の放送はすべて試験放送であると説明を続ける。

「いつまで試験放送が実施されるのか、終了時期については決まっていませんが、いずれかの放送局がビジネスベースでの放送を始めるまで試験放送を続けることがフォーラムの役目です。少なくとも1年以上はかかると見ています。

例えばスカパー!の番組ラインナップとして4Kの本放送が始まれば、私たちの試験放送はフェードアウトしていくという格好です。スカパー!が4K放送のプラットフォームを敷いて、民放各局が4Kのコンテンツをスカパー!に提供していくというモデルもあるかもしれません。フレームが決まっていないので、今はまだどうなっていくのかわかりません」

一方で放送局やプロダクションなど、番組制作側では4Kへの関心が日増しに高まりつつあることを元橋氏は実感しているという。

「エンジニアや映像制作に携わる方々は4Kが持つポテンシャルに興味を持ち、4K制作のノウハウを蓄積していこうとモチベーションを高めているようです。まだビジネスとして描く段階にまでは至らぬものの、制作ツールとして4K対応を進めたいという意気込みが伝わってきます」

現在はまだ機材の価格が熟れていないこともあり、番組制作コストがハイビジョンの1.5〜2倍かかると言われているが、今後の技術進歩によりコストの負担が軽減されていけば、個々のプロダクションが4K放送を実施する衛星放送局やVOD事業者に番組コンテンツを販売したり、放送収入のレベニューシェアも合わせてビジネスの可能性が広がるだろうと元橋氏は見解を示す。


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