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<山本敦のAV進化論>第10回

4K試験放送は結局どんな内容に? ー 詳細や今後の戦略をNexTV-Fに聞く

公開日 2014/05/28 12:25 山本 敦
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■なぜスカパー!ICカードやフォーラムへの視聴申込みが要るのか

Channel 4Kの視聴環境の条件にスカパー!ICカードが含まれる理由について、元橋氏は次のように説明する。

「TU-UD1000」のCAS/スカパー!ICカード挿入部

「Cannel 4Kは124/128度CSデジタル放送のプラットフォーム上で、技術的にはスカパー!のシステムの中で放送サービスを提供します。そのためスカパー!ICカードが必要になります。

過去にハイビジョン推進協会がハイビジョンの試験放送を始めたときには、当時はまだアナログの衛星放送だったためB-CASカードの仕組みがなく、ましてやコンテンツ保護の意識も今ほどありませんでした。アンテナとチューナーがあれば誰でも見られるという仕組みです。

現在では著作権保護の意識が高まってきたこともあり、Channel 4KではHDCP2.2のプロテクション技術を導入しています。コンテンツ保護の信号を入れるためには伝送時に暗号(スクランブル)をかける必要があります。Channel 4Kではスカパー!のプラットフォームを利用しているので、つまりスカパー!のスクランブルをかけることになります。

地上・BSデジタル放送で用いるB-CASカードとの最大の違いは、B-CASはコンテンツ保護のためのスクランブル領域があり、対応機器にカードを差し込めばスクランブルが解けます。これは本来無料の放送を視聴するためには最も効率の良い対応方法でした。さらにWOWOWなど有料放送を見たいのであれば、ユーザーが契約をして局に連絡をすることでプロテクションを解いてもらうという流れです。

ところが、スカパー!は元々無料放送を想定していない、有料放送の仕組に則ったICカード方式を使っているので、カードにコンテンツ保護を解くための機能が乗っていません。だから有料放送のスクランブルを解くのと同じステップで、放送局に視聴申込みを行ってスクランブルを解除するステップが必要なのです。こういうことから、無料で視聴はできるのですが、一度フォーラムのカスタマーサービスにお申し込みのご連絡をいただく手順を採っています」(元橋氏)

シャープが6月下旬に発売するChannel 4K対応のレコーダー「TU-UD1000」は、購入すると本体にスカパー!ICカードが同梱される。本体にカードを挿して、フォーラムのコールセンターに電話をかけ、カードのID番号と住所・名前を伝えればChannel 4Kが見られるようになる。

住所と名前を訊ねる理由については、後に有料放送の事業者が登場した際に視聴者を把握しておく必要があるためだという。ほかにも専用アンテナの設置が必要になるが、こちらはスカパー!に申し込むと、別途アンテナ設置料金のみを支払うかたちで設置サービスが受けられる。

このようにテレビとチューナーを機器を買い揃えるだけでなく、Channel 4Kを受信するために把握しておくべきことも幾つかある。シャープのレコーダーには同梱されるスカパー!ICカードも、今後発売される受信機については、購入者が申し込んだ後にスカパー!から貸与契約のかたちでカードが送られてくるようになる可能性もあるという。サービスの運用形態が変更される場合も十分に考えられるため、放送開始後も視聴者のために、必要な機材や手続きの詳細をわかりやすくまとめて、Webサイトや店頭などを使って丁寧にアピールしていくことがフォーラム側に求められてくるだろうと元橋氏は指摘する。

「このように、やや分かりづらいサービス構造にしてしまった背景のひとつには、昨年に総務省が『2014年に4K試験放送を実施する』という発表を行い、なんとしてもそのスケジュールに合わせるために突貫工事が行われたこともあります。今回6月2日に試験放送が始まる運びとなりましたが、始まった後にもより分かりやすい仕組みを整備していきながら、ユーザーの皆様にお知らせしていかなければならないと考えています。2016年に110度CSデジタル放送を利用した8K/4K放送を円滑にスタートするためにも大事なことです」(元橋氏)

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