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<山本敦のAV進化論>第9回

業界最小「40型の4Kテレビ」を出す理由とは? REGZA 「40J9X」レビュー&インタビュー

公開日 2014/05/21 10:49 山本 敦
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確かに今回視聴した40J9Xの映像には、これまでに見てきた大画面の4K映像とはひと味違う魅力がある。もちろんパネルの色域やダイナミックレンジが広がり、超解像処理の精度も向上したことなど理屈で背景として説明できる要素はあるのだが、様々な結果として40型・4K映像の“一体感”が高まって、脳内で映像を結ぶための情報量が格段に増えたことが、より自然にリアリティを認識することに寄与しているのだと思う。

40J9Xを視聴する筆者。テレビとの距離は1〜1.5mぐらい。ここからさらに身を乗り出して見たくなるほどの緻密な4K映像を体験できた

「従来の大型モデルのように画づくりをしてしまうと輪郭が不自然になってくるはずです。40型ならではのナチュラルに画づくりができたことが今回のポイント」と語る住吉氏は、このように説明を続ける。「基本は一番大きな画面サイズで精細感のコントロールなどパラメータを決め、これを小さいサイズのモデルに展開しているから、適切な画づくりができているのだと思っています。反対に最初から40型を前提とした画づくりをしてしまうと、精鋭感を高めようとして細かいテクスチャーがつぶれてしまいます。すると、遠くから見ればしゃっきりとしてるけど、近くで見ると面白さがなくなるという結果を招いてしまいます」

東芝が4Kレグザを商品化してから、今回のZ9X/J9Xシリーズで「第3世代」になる。その間に蓄積されてきた4Kテレビの経験値と技術資産が、今回商品化された初めての40型モデルの良好な画づくりに貢献していることは間違いない。


■4K映像の新たな地平を切り拓いた「40J9X」

「40J9Xは近視聴距離で4Kの高精細な映像を真剣に楽しみたいという方々の、琴線に触れるテレビを作りたいという思いで開発してきた」と本村氏は語る。50型のZ9Xは「58型でもまだ大きい」というニーズがあったことから、リビングサイズのコンパクトな4Kテレビとしての位置付けで、比較的早い段階から商品化が決定した。

一方で40型の4Kテレビは、CEATECでの試作機の出展が好評を得たことから、プロユースだけでなく「パーソナルテレビの最高峰」として商品化していくという方向性でキャラクターが固められてきた経緯がある。結果、これまで大画面のテレビで味わってきた4K映像の魅力とはまたひと味違う、高密度で濃厚な4K映像が楽しめるテレビが誕生した。アニメやゲーム、写真だけでなくBD映画やテレビ放送なども、本機で改めて見直してみたくなるような新鮮さが感じられた、今回の視聴体験だった。

パーソナルユースにベストなテレビであることは間違いないが、例えば一人暮らしのユーザーがメインに使うリビングテレビとしても申し分ない。現在では40型のフルHDテレビが非常に安く買えてしまうので、想定売価23万円前後という本機の価格設定については色々な受け止め方があると思うが、本機でしか見られない4K映像の世界を知ってしまうと、この価格に見合う十分な価値があることが実感できるはずだ。本機の発売予定は7月中旬。店頭で視聴する際にはぜひ“がぶり寄り”のポジションで本機の4K映像を確かめてみることをおすすめしたい。

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