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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第65回】ソニーのハイブリッドイヤホン「XBA-Hシリーズ」3機種を徹底聴き比べ

2013/11/05 高橋敦
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ドライバーの他に音に関連する要素としては、全モデルに「ビートレスポンスコントロール」技術が採用されている。ダイナミックドライバー背面の空気圧を上手く制御することで振動板の動作をより最適化し、低域の過渡特性、つまり低音の立ち上がりと立ち下がりを向上させる。これによって低音のキレが増し、リズムの再現性が正確さを増す。ヘッドホンMDR-1Rシリーズの技術を取り入れた形だ。

XBA-H2とH3については、ハウジングに制振性に優れた素材を採用していることもポイント。不要振動を抑えることで低音の反応の良さと中高音のクリアさを獲得させている。

また付属イヤーピースの出来の良さはソニーイヤホンの特長だが、その点もさらに強化された。今回は新たに用意された「シリコンフォームイヤーピース」も付属する。

新たに付属するシリコンフォームイヤーピースの見た目は普通のシリコンイヤーピースと変わらないが…

かさの内側に発泡クッション材が仕込まれている。この素材の弾性の高さによってイヤーピースが耳の内側にぐいっとフィット

一般的な形状のソフトシリコンイヤーピースのかさの内側に異素材を仕込むという点では、既存の「ノイズアイソレーションイヤーピース」と同じ。しかし仕込む素材が低反撥ウレタンフォームから発泡クッション材に変更されている。低反撥ウレタンフォームよりも密で弾力が強い素材であるので、より高い遮音性を期待できる。

ハイエンド製品では定番仕様となっているケーブルの着脱機構は、XBA-H2とH3は採用。端子そのものは、他社でも採用例の多いMMCX端子(超小型同軸端子)だ。しかし端子の周りの樹脂パーツの凹凸によって、くるくると回らないようにロックされている。くるくる回ることで装着しやすいという意見もあるし、回ると装着や接続の安定性が不安という意見もある。このあたりは考え方次第だろう。

XBA-H3のイヤホン接続部分。見るからに頑丈そうだ

外してみるとこんな感じ。端子部分(金属部分)はMMCX。その周りの樹脂部分の形状がソニー独自の工夫だ

ちなみにだが、例えばShure SEシリーズ用純正ケーブルは、そのロック部分を無視して収まる形でこのXBA-Hに挿し込むことができた。メーカーは推奨も保証もしないだろうし、僕も保証はできないが、MMCX型のリケーブル製品は流用できる可能性がある。

他にケーブル周りでのポイントは、XBA-H3のみがケーブルを耳の上に回して引っ掛けるタイプの装着方法を採用している。いわゆるイヤーモニター的な装着方法だ。H3は大口径ダイナミックドライバー+BA型ドライバー2基の構成なので必然的に大柄で重量もある。その装着を安定させるためにこの装着方法を採用したのではないだろうか。

その耳の上に回すイヤーハンガー部分の芯材には三井化学製の形状記憶樹脂「テクノロート」を採用。自由に曲げられその形状を保つ特性を持ち、軽量で折れにくいと、イヤーハンガーとして理想的な素材だ。ここに金属ワイヤーを使わない理由としてソニーは、破損しないだけの耐久性を前提に、しかし万が一にも折れたりした場合の安全性にまで配慮したとしている(同じくテクノロートを採用したMDR-EX1000の取材時に聞いた話だ)。なおハンガー表面の素材は肌触りのよいシリコン。

XBA-H3のイヤーハンガー部分。実際かなり柔軟で、耳の上にしっくりとフィットする

なおXBA-H2とH3には1ボタンのリモコン&マイクを搭載したケーブルも同梱されている。
XBA-H1はケーブル交換不可でリモコン&マイク非搭載なので、リモコン&マイクがほしい人はH2かH3を選ぶことになる。

おまちかねの音質チェック!

ではやっとここからが音質チェックだ。最初にそれぞれのモデルの印象を簡単にまとめておこう。

XBA-H1はシリーズの中では最もタイトでやや硬質な感触で、音のスピード感にも秀でる。キレの良さが持ち味だ。

XBA-H2は逆にややソフトで落ち着きのある音調。低音はほどよく緩めておおらかななじみがある。

XBA-H3はH2よりさらに低音の厚みを増しながら低音のキレも高めている。ベースとドラムスの迫力は圧倒的だ。それでいてボーカルの質感といった細やかな表現力もシリーズ随一。

では、次ページから順に詳しく説明していこう。

次ページまずはXBA-H1!キレの良さが持ち味

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