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圧倒的なNC性能

【レビュー】ボーズ初のノイズキャンセリングイヤホン「QuietComfort 20」

公開日 2013/08/08 10:55 レビュー/山本 敦
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「QC 20i」のサウンドをチェック

本機の音質についてはiPod touch 5Gと、Astell&KernのハイレゾDMP「AK120」を使ってチェックした。


AK120でハイレゾ音源を試聴した
全体としてバランスの整った中高域に、量感豊かな低域を加えたキャラクター。解像表現力も低くはないのだが、それよりも力強くウォームでふくよかさを備えたサウンドが本機の魅力と感じた。

アン・サリーのアルバム「Brand New Orleans」から、ボーカルとウッドベースの2ピースによる楽曲『I Know』を試聴。ウッドベースの力強くマッシブな音が、繊細でクリアなボーカルの歌声を押しつぶしてしまうことなく、絶妙なバランスで演奏が展開される。無駄なノイズが徹底的に排除されたステージ上で、ボーカルのビブラートやブレスの息づかいなどが隅々まで細かく再現される。ベースの演奏も耳を澄ますほどに細かな演奏が浮き彫りになっていく。低域のサウンドにただボリューム感があるだけでなく、ディティールまでもが細やかに見渡せるところが本機の特徴だ。

リチャード・ペイジのアルバム「Solo Acoustic」からアコースティックギター1本での弾き語りによる楽曲『Kyrie』を試聴した。ギターの弦は高域の響きがややドライな感じだが、楽器な音としてのリアリティがあり、中低域は重心が低くどっしりと力強い。マイケル・ジャクソンのアルバム「Bad」から『Smooth Criminal』は濃厚なベースラインや、力強く伸びるボーカルのハイトーンが印象的。パワーと響きがきちんと制動されていて、なおかつディティールの表現もおろそかになっていない。音楽としての表情も豊かで、アーティストの作品に込めた感情やテクニックを饒舌に再現してくれるイヤホンだ。

ハイレゾ音源はビル・エヴァンスの「Waltz for Debby」の192kHz/24bit・FLACの音源から『Milestones』を再生。ビル・エヴァンスの硬質なピアノの音色が、幾分ウォームでまろやかな風合いに再現されてしまうものの、ディティールがつぶれてしまうことはなく、音の粒立ちや輪郭はしっかりと保たれている。ドラムスのハイハットなど、高域の音色は残響のグラデーション表現がきめこまかく、末端の微細な音色まで描かれる。ウッドベースの演奏は極めて表情が豊かだ。

サウンドインプレッションの終わりに、iPhoneによる音声通話の音声についても簡単に報告しておく。筆者はiPhoneでスカイプ通話を利用することがよくあるが、カナル型のイヤホンは通話相手の声がこもって聞こえがちなので、普段は開放型のインナーイヤホンを使っている。QC 20iは音声通話も非常に聞こえやすく快適だった。ノイズがきれいに除去され、通話相手の声だけがクリアに聞こえてくる。インナーイヤホンの場合は周囲の雑音が飛び込んで会話が聞こえなくなることも多いが、本機の場合はストレスなく会話に集中することができる。音声通話は本機のノイズキャンセリング効果が最大限に発揮される用途の一つかもしれない。音声通話にマイク付イヤホンをよく使う方は、ぜひ一度体験してもらいたいほどオススメだ。


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