【レビュー】「手軽にハイレゾ」が新しい全部入りコンポ、パナソニック「SC-PMX9」

■ハイレゾ再生のサウンドをチェック

NASに保存したハイレゾファイルの再生を試してみる。今回はリモコンアプリにパナソニックの音楽再生アプリ「Panasonic Music Streaming」を使ったが、「DiXiM DMC」や「SongBook Lite」「Kinsky」など他社製の音楽再生アプリでも基本的な操作は行えた。

「Panasonic Music Streaming」アプリを起動すると、音楽ソースの一覧に同一ネットワーク上にあるNASが表示される。画面のフォルダー表示をタップしながら聴きたい楽曲まで辿って行く。

今回テストしたiOS版のアプリでは、「スピーカー選択設定」のメニューが設けられている。これはデフォルトのセッティングではiOS側のAirPlay/Bluetoothを優先する「自動モード」に設定されているため、アプリ側で対応しているDLNA上のオーディオデバイスによる再生を選べるようにするため、「Settings」のメニューから「スピーカー選択設定」＞「手動モード」を選んでおく。

手動モードに切り替えた後は、再生画面の右下にある「Speaker」アイコンから、DLNA上のオーディオデバイスとしてSC-PMX9を選択すると、本機でのネットワーク再生に切り替わる。

ネットワーク再生の音質を報告しておこう。リファレンスの音源として、ビル・エヴァンス・トリオのアルバム「Waltz for Debby」（192kHz/24bit）から『Waltz For Debby (Take 2)』を聴いた。参考までに同じ楽曲のCDも比べて聴いた。

非常に透明感が高く見通しの良いサウンド。CD再生との違いは演奏の冒頭部分を少し聴き比べるだけで明らかだった。

ピアノをはじめとした楽器は、情報量が充実して引き締まった鮮度の高いサウンドが楽しめる。ベースやドラムスの低域は程よい量感を備え、響きもタイト。ボリュームを上げていってもベース音が飽和することがなく、小振りながら力強いパワーを備えたシステムだ。

ドラムスのハイハットなど、細かいリズムを刻む高音は非常にシャープでキレも良い。ピアノは硬質でクールなビル・エヴァンスのタッチが見事に再現されている。ピアノの高域は驚くほどに良く伸びて、エネルギーもしっかりと乗っている。各帯域の再生バランスは均整が取れていて、S/Nやセパレーションも良好。各楽器の演奏は細かな表情までが見えてくる。

ハイレゾ再生の醍醐味を十分に満喫できるリッチなサウンドだ。従来の手軽なミニコンポの感覚で、ブックシェルフやデスクトップに何気なく設置して手軽に楽しむのも良いが、せっかくの高品位なシステムなので、スピーカーはオーディオグレードのスタンドに乗せ、アンプの底面にはインシュレーターなどを活用することで、よりいい音が引き出せそうだ。

純正アプリ「Panasonic Music Streaming」の操作は直感的に使えて、レスポンスもきびきびとしている。FLACやMP3ファイルの再生時にはカバーアートも表示できた。再生楽曲のファイル形式やビットレートなど詳しい情報が表示できれば、本機で再生できるフォーマットのファイルを、予めNAS上にフォルダーを作って分類する手間などが省けるので、もっと便利になると思う。

なお、今回のテスト環境では、192kHz/24bitのWAVなどデータ量の大きいハイレゾファイルを無線接続で再生している時にやや動作が不安定になることがあったので、状況に応じて有線接続でもネットワーク再生を利用できるようにしておくことをおすすめしたい。