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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第46回】「春のヘッドホン祭2013」− 恒例! 高橋敦の“超”個人的ベスト5発表

公開日 2013/05/17 11:30 高橋敦
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【第3位】Marshall「MONITOR」「HANWELL」

前回の秋のヘッドフォン祭でヘッドホンを出展していて僕を喜ばせてくれた(前回の記事はこちら)、イギリスというか世界を代表するギターアンプのブランドであるマーシャル(まあ僕はフェンダー派なのだけれど)。今回もそのマーシャルの新製品がふたつも展示されていた。

まずはヘッドホン新製品の「MONITOR」。定価3万4,800円。

気分が高まりすぎてヘッドホンの全体図を撮影し忘れていました…というわけでハウジングのクローズアップ。ヘッドバンド部はおそらく人工皮革と思われるが、なかなかよい仕上がりだった

名称からもわかるようにスタジオ等でのモニター用途を想定して開発されたモデルとのことだが、その割にリモコン&マイク搭載ケーブルが付属したりもするので、メーカーとしてはポータブル用途でも使ってほしいのだろうな感が見える。装着感も良好だ。

イヤーパッドがマグネット式で簡単に外れるようになっていて、するとその下にフィルターのようなものがあるのだが…

そのフィルターのようなものを着け外しすることで微妙な音質調整ができるというギミックも仕込まれている

音の方は、ささっと聴いた範囲での印象だが、これが実に真っ当にというか素直に鳴ってくれている感じだ。モニターを名乗るのだから当然と言えば当然なのだが、マーシャルな荒っぽさや鋭さを期待して聴くと肩すかしだろう。つまりコレ、「見た目はマーシャルなのに音は普通に良バランスなヘッドホン」なのだ。なのでロック好きかつオーディオ好きという方にとっては、そのロック好きの部分をマーシャルブランドの力と外観で満足させてくれて、オーディオ好きの部分を音で満足させてくれるヘッドホンと言える。

マーシャルのもうひとつの新製品はコンボアンプ(スピーカー一体型アンプ)「HANWELL」だ。定価9万8,000円。

いかにもマーシャル!大きさは、わかる人にはわかるように説明すると、5Wクラスの小型真空管ギターアンプを想像してもらうとだいたいその程度だ

コントロール周りもゴールドだしノブの形状などまで実にマーシャル。マーシャルを知る人も納得だろう

わかります。色々とツッコミたくなるお気持ちはわかります。ツッコミ内容を想像しつつ答えさせていただきます。

「これヘッドホンと関係ないだろ!」

その通りです、すいません。僕にもどうしてこれがヘッドフォン祭に展示されていたのかはわかりません。ただこれがあるおかげでマーシャルの展示ブースが華やかになっていたのは確か。何しろ見た目がザ・マーシャルなので音の出る看板的な効果はあった。実際、僕も遠目にこれを見つけてマーシャルブースに吸い寄せられたのだ。

「これオーディオ機器じゃなくてギターアンプだろ!」

それがコレ、ギターアンプにしか見えないルックスなのにギター入力は用意されていなくて、オーディオ用のステレオミニプラグ入力のみを装備しているんです。スピーカーもこのサイズのギターアンプだと10インチ1発とかが普通のところ、コレはウーファー×2+磁性流体ドームツイーター×2とオーディオらしい構成。こちらも普通によい音がしそうな仕様だし、騒がしい会場での試聴ではあったが実際に好感触だった。

【第2位】M2TECH「hiFaceDAC」

USB端子に直接挿して使用する超小型USB-DDCとして好評を博しているM2TECH「hiFace」シリーズの新機種「hiFaceDAC」は、名前からもわかるように今度はDACだ。そしてヘッドホンアンプとしても利用できる。こちらはあらかじめ注目していて実物を見て試すのを楽しみにしていた製品だ。

USBメモリーサイズとまではいかないが十分に小さい。プラスチックの発色を生かした鮮やかなオレンジ色もポップで好印象

ブースではタブレットに接続してのヘッドホン試聴環境が用意されていた

ブースに用意されていたGRADOのヘッドホンとの組み合わせで軽く試聴させてもらったところ、GRADOらしい力強い低音によるウッドベースをしっかりと制動していることが印象的だった。気になるほどのブレや緩みはない。メーカーによると「ハイインピーダンスヘッドフォンも高音質にドライブできる設計」とのことだが、そう謳うに足る力を備えていると感じられた。

なおスペック面も384kHz対応と万全。USB端子に直結させる機器で気になる重量も軽く仕上がっており、端子にかける負担は最小限ですみそうだ。

…さていよいよ第1位の発表だが、あらかじめお断りしておくと、今回のこのレポートにおいてはUltimate Ears「UE900」もSHURE「SE846」もランクインしていない。大注目ハイエンドイヤホンなのになぜ?

それは単純な話、僕はその両モデルともヘッドフォン祭の当日より前に別の取材や発表会で体験済みだったので、個人的にはヘッドフォン祭ではチェックしなかったのだ。というわけで第1位はそれらとは別のイヤホンである。

次ページついに発表! 1位は…あのカスタムイヤモニブランドの新モデル − 今年も会えた「アンティークヘッドホン友の会」レポートも

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