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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第43回】「人気声優×人気イヤホン」相性が良いのは? 怒濤の28組み合わせ総当たりテスト!

2013/04/19 高橋敦
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・田村ゆかり「W:Wonder tale」


ポイントとしては、鼻にかかった甘いトーンでありながらも同時に実に抜けのよい声の感触。ゆかりさんはシリアスな声とスイートな声を使い分けるが、この曲ではその両者の中間的な歌い方をしている。いいか!?シリアスが七分にスイートが三分だ!またこの録音でのゆかりさんの声の質感(手触り)にはほんの微かなざらつきがあり、それが歌のほどよい引っかかりを生み出している。それをどのように描き出すのか。その点も要チェック。

というところなどを踏まえて相性評価は以下のようなところ。

・相性表
SE215SPE|★★★・・|
ERー4S   |★★★★・|
XBAー30  |★★★★★|
K3003   |★★★★・|

それぞれのイヤホンとの相性を細かく説明していこう。

「田村ゆかり×SE215 SPE」の相性評価は3。悪いわけではない。
声のざらつき感をしっかりと出しつつも、それでいて艶やかさもある。基本的には問題ない表現だ。

しかし好みが分かれるかなというのは声の透明度。このイヤホンでこの歌を聴くと、良くも悪くも少しの雑味がある。それが質感表現と同じく声の生々しさを強めてもいるのだが、クリアな声を好む方には合わないかもしれない。

なおこのイヤホンは低音の厚みを強めたチューニングなので低音楽器の存在感が強いが、ゆかりんの声のそもそもの抜けの良さもあって、ボーカルが低音に埋もれることはない。とはいえバランスとしてはベースやドラムスが強いので、その厚みや迫力を楽しみたい方におすすめだ。アップテンポのこの曲のドライブ感をよく引き出してくれる。

「田村ゆかり×ER-4S」の相性評価は4。なかなか良好。声の抜けの良さが突出しているし、声の質感の描き込みの細やかさも文句なし。手触りを強めに出すのだが、その感触が荒くなく穏やであるところもよい。また声を掠れさせるというかささくれさせるというか、そういった歌の表現もやはり細やかに描き出す。強いて言えば声が一瞬だけシャープになりすぎる場面もあるのだが、それほど気になるわけではない。ゆかりさんの声(やキャラ)のツン成分が好きな人にはむしろ好ましいかも。

楽器の音も抜けや解像感に優れる。このイヤホンは低音は稼いでいないので、ベースやドラムスのドライブ感は控えめ。その分ボーカルがより前に出てきている。

「田村ゆかり×XBA-30」の相性評価は5。これは意外とハマった。声の手触りはざらつきを強く出さないというか、むしろつるっとした感じにする。よい意味でプラスチック的に艶やかな感触だ。この表現にはちょっと意表を突かれたが、これはこれでよい!歌の表現の描き込みもよい。語尾の息の抜き方や掠れさせ方などのニュアンスも豊かに感じられる。
他の楽器まで含めて全体としてもやはり、質感の艶やかさが持ち味だ。低音側の厚みも自然に充実しており、安定感もある。

「田村ゆかり×K3003」の相性評価は4。しかし5に転んでもおかしくないレベルでの4だ。相性はよい。

まず最初にゆかりんが息を大きく吸い込む、それにはっとさせられる。息を吸い込む、ただそれだけの音にゆかりさんの声質の要素が凝縮されている感じだ。歌い始めると、声の質感は少しシャープに出すタイプ。しかし嫌な刺さり方をすることはない。語尾等のニュアンスも豊かで、歌の表情も生き生きとしている。

ではなぜ5ではなく4にしたのかというと、まずは、メロディが高い音で強い発音のところで、少しだけ声がキンとする瞬間があること。あとは声の線が少しだけ繊細すぎるようにも思えた。まあどちらも「少しだけ」程度の話ではあるし、鋭敏な描写を好む方にはむしろ望ましいところかもしれない。ER-4Sと同じく、ツン好みの方にはむしろおすすめだ。

次ページ続いては花澤香菜「Silent Snow」をチェック!

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