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リンDSとのネットワーク再生聴き比べも

【レビュー】マランツ「NA-11S1」&ラックスマン「DA-06」 − DSD対応の注目ハイエンドDACを聴き比べる

公開日 2013/03/08 11:06 山之内 正
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音質の話に入る前に使い勝手の印象を一言だけ触れておくと、NA-11S1がギャップレス再生や起動時間の短縮を実現したことによって、DSとの差は以前よりもかなり小さくなったというのが私の実感だ。ただし、最新の操作アプリについてはリンのKinskyがマランツのアプリ以上に大きく進化しているため、こちらはまだかなり差が開いている。特にプレイリストの作成と編集の自由度と、操作後に音が出るまでの待ち時間はまだ改善の余地が大きい。

NA-11S1が新たに対応した192kHz/24bit音源は、細部までクリアに解像しながら低弦の厚みやスケール感にも余裕があり、下位機種のNA7004に比べると構えが大きく包容感のある音を再現する。

一方のMAJIK DSはハイレゾ音源のメリットをわかりやすく再現する良さがあり、オーケストラやピアノの階調の豊かさや音色の描き分けがとてもうまい。音の粒立ちではNA-11S1が勝るかもしれないが、アーティストと同じ空気を呼吸し、演奏に集中できるという点ではMajik DSに一日の長がある。

「NA-11S1」とネットワーク再生の音質を比較したLINN「MAJIK DS」

AKURATE DSは低音の重心がグッと下がり、暗騒音の音域で空気感をリアルに再現する力がある。たんに超低域まで伸びているだけでなく、低域や中低域の透明度が高い点にも特徴があり、MAJIK DS以上に立体的で高密度な空間描写ができるのだ。その領域までくるとたんなる性能比較は意味がないし、序列を付ける必要もない。

上位モデルの「AKURATE DS」とも音質を比較した

NA-11S1が現時点でDSと拮抗しているのは、まさにこの空間再現の領域である。空間のスケールが大きいことをさきほど紹介したが、その密度感までもリアルに再現することで、ディスクプレーヤーとは次元の異なる表現領域に近付いているように思う。マランツが60周年記念モデルとしてネットワークオーディオに白羽の矢を立てたのは、そこに理由があるのだろう。

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