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藤岡誠/山之内正/石原俊がそれぞれの観点から実力に迫る

【レビュー】エソテリック「P-02/D-02」の音質を評論家3名が徹底チェック − 開発陣特別対談も!

公開日 2012/01/18 11:00
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エソテリックが誇る数々の新機軸をふんだんに組み込んだ


エソテリックは、セパレート方式CD/SACDプレーヤーにおいて他社を圧倒するラインアップを持っていることは、オーディオファンならば誰もが知っている。そのフラッグシップモデルはいうまでもなく受注生産される「P-01」「D-01」である。P-01は電源部独立筺体のトランスポートで価格は231万円。D-01はモノブロック(左右ch独立)DAコンバーターで価格は115万5000円/1台。すなわちステレオ用に2台購入で231万円。両機をコンビで買えば、何と462万円の代物。市井の人々とってまさに高嶺の花だった。

P-01

D-01

その後、コンビで252万円の姉妹機「P-03」「D-03」を発売した。むろん、それでも高価ではあるが、P-01/D-01を巧みに合理化し、日米で高く評価され実際に売上の実績も伴ったという。

P-03

D-03

ここで紹介する「P-02」「D-02」はこのP-03/D-03の代替モデルとしての位置づけ。コンビの価格で42万円アップしたが、価格上昇分以上の新機軸が組み込まれているのが魅力だ。

P-02

D-02

ここでは同社がアピールする点についてシンプルに説明しよう。

超高精度マスタークロックや超広帯域伝送技術などを採用


「ES-LINK3」は広帯域伝送のための独自の技法。XLRのデュアル接続で最大176.4kHz/48bitに、さらに『DUAL AES8Fs』規格により最大352.8kHz/24bitの超広帯域伝送が可能だ。特許出願中の「35bit DAプロセッシング」は32bitのDACチップを複数個組み合わせて35bitの階調を得て解像度を高めている。

「圧倒的な物量投入」は、P-02が4個、D-02も4個、両機合計で8個のトロイドコア型電源トランスが使われ、機能別に独立されている各回路へクリーンな電源を供給している。数が多いから良いというつもりはないが、設計者の深い思いは伝わってくるし、前例のない驚異的電源構成といえる。

「PLLレス・ダイレクトマスタークロックLINK」は22.5792MHzの超高精度マスタークロックで、P-02とD-02をリンク。このクロックによって新次元のワードシンクが実現したという。

「10MHzマスタークロック入力」は両機共に10MHzサイン波専用のクロック入力端子(BNC)を備え、外部マスタークロックデバイスに幅広く対応する。

そのほかでは、SACDマルチch再生への拡張性が挙げられているが、これはiLINK端子の装備により、3台のD-02を組み合わせて最高水準のマルチch再生が可能ということである。

透明度、分解能は共に最高水準 − 安寧なニュアンスも兼ね備える


さて、トランスポートのP-02はエソテリックのオリジナルVRDS-NEOドライブメカニズムであることはもちろんだが、最新の「VMK-3.5-20S」タイプ。その重量は5.2kgとのことだ。デジタル出力はES-LINK3対応のデュアルXLRを含め、3種類5系統(XLR×2、RCA×1、iLINK 4/6p各×1)と豊富。

P-02の背面端子部

DAコンバーターのD-02は5種類8系統のデジタル入力(XLR×2、iLINK 4p/6p各×1、USB×1、RCA×2、光TOS×1)を装備。USB(Bタイプ)は32〜192kHz/16〜24bitリニアPCM。機能としてDDコンバート、4種類のPCM用デジタルフィルターを持ち、フィルターOFFモードの選択もできる。また、余裕ある量子化数を活かして、ビット落ちが極めて少ないデジタル方式音量調整が可能だ。

D-02の背面端子部

微小レベルのDA変換精度、S/Nは優秀。音の透明度、分解能は共に最高水準で聴くソフトの録音状態が見事に露呈してくる。この意味では音質・音調は分析型といっていいが、その一方、スルーな聴こえの中に、とても安寧なニュアンスを持っているから、決してクール過ぎることはない。

【筆者プロフィール】
藤岡 誠 Makoto Fujioka
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。


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