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見えてきたモバイルエンターテインメントの進化

【MWC2014】「単体から連携」の価値訴求でスマホは次の魅力を打ち出せるか? − MWC2014の4日間を振り返る

公開日 2014/02/28 19:18 山本 敦
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世界最大のモバイル関連の展示会「MWC2014」が2月24日から27日までスペイン・バルセロナで開催された。4日間に渡る展示の内容に注目すると、スマートフォンを中心としたこれからのモバイルエンターテインメントの進化が見えてくる。

バルセロナの展示会場「Fira Grand Via」で4日間に渡りMWC2014が開催された

■新興国市場向けの低価格エントリーモデルに注目が集まった

今回のイベントを振り返ってみると、スマートフォンに関連する最大のテーマはやはり、急成長を続ける新興国市場に低価格で魅力的な製品とサービスを提供することだったように思う。単にフィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えるエントリー層を捉まえるための仕掛けを工夫するという話ではなく、「まだスマホを持っていない人口」が圧倒的に多い中国、インドなどアジア圏、中南米の国々でシェアを広げ、覇権を獲得していくための戦略どう今から作り込んでいくかという、大きなビジネスプランを既にメーカー各社は描いている。そこに端末のデザインや最新のOS・アプリなど競争力のある付加価値を付けた端末を各社が発表し、さらに熾烈な競争を繰り広げ始めた。

ヨーロッパで絶大な人気を誇るノキアは初のAndroidスマートフォン「Nokia X」シリーズを発表し、今回のイベントでも特に高い関心を集めた。4インチのWVGAディスプレイに3メガのカメラを搭載。CPUは1GHzデュアルコアのSnapdragon S4。3G通信までをサポートする。本体サイズも機能もコンパクトにまとめ込んだ端末だが、「89ユーロ(12,000円前後)」という低価格を感じさせない、キュートでスタイリッシュなデザインのインパクトが強いスマートフォンだ。ブースを訪れるヨーロッパの来場者たちがしきりに「私の国ではいつ発売されるのか?」と展示スタッフへ熱心に問いかける姿を非常に多く目の当たりにした。「Nokia X」はアジアを中心とした新興国に向けて近日中発売が予定されている。残念ながら日本での発売予定は今のところないようだ。

ノキアが発表したAndroidスマートフォン「Nokia X」

LGエレクトロニクスもヨーロッパなどで展開するミドルレンジの新シリーズ「F」と「L」を立ち上げた。「LG F70」はLTE対応のミドルレンジ機で、OSにAndroid 4.4、CPUに1.2GHzのクアッドコアプロセッサー、5メガのカメラを搭載する。Lシリーズはロシアなどスマホ新興国に位置づけられる国々に投入される3G対応のエントリーモデルだ。ほぼ全ての機種に専用の「クイックウィンドカバー」をアクセサリーとして用意して、デザインで先行するLGのブランドイメージをアピールする。

LGが欧州向けに発売するミドルレンジのスマートフォン「LG F70」。専用の「クイックウィンドカバー」をアクセサリーとして用意する

ソニーはフラグシップ「Zシリーズ」の8メガの高機能カメラやアイコニックなデザインなど、エッセンスを凝縮させた兄弟機の「Xperia M2」を発表。春からヨーロッパ各国に展開する。LTEの他に3G、デュアルSIMのモデルなどバリエーションも揃えながら、220ユーロ前後の販売価格で展開する。バルセロナ市内の携帯電話ショップを眺めてみると、実際に販売されているXperiaシリーズには100ユーロ台のものから高級機まで幅広いレンジのラインナップが揃っている。220ユーロという価格設定はノキアなど他社新製品のインパクトに比べるとやや弱いようにも感じられるが、フラグシップのZシリーズと変わらないリッチなユーザーエクスペリエンスが味わえる、最もユーザーフレンドリーな価格のモデルとして、ソニーは一押しラインナップに位置づけて注力する考えだ。

ソニーが発表した「Xperia M2」は、Zシリーズのリッチなユーザー体験を広く普及させる牽引車としての期待がかかる

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