製品の特徴と誕生の背景を訊いた

<IFA GPC>ゼンハイザーのAMBEOサウンドバーはソニーとも連携。開発者が語る「革新」の中身

山本 敦

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2019年04月28日

セットアップ時のルームチューニングには、本体に付属する細いスティック状の専用マイクを使う。チューニング完了後の本体設定についてはゼンハイザーが開発したiOS/Android対応のモバイルアプリ「Sennheiser Smart Control」がメインに活躍する。GUIと本体に付属するハードリモコンによる組み合わせでも行える。

セットアップに使う細い棒状のマイクロフォンも同梱

音場設定のプリセットはムービー/ミュージック/スポーツ/ニュースとニュートラルの5種類。AMBEO独自のサラウンド効果はONとOFF(ソースをアップミックスせずに出力)が選択でき、さらにAMBEOがオンの状態では強度をライト/スタンダード/ブーストの3種類からアプリで調整可能だ。

天面にAMBEOのオン・オフをスイッチできる操作パネルを配置する

AMBEO Soundbarを立ち上げて「Sennheiser Smart Control」アプリを立ち上げたところ。同じアプリは完全ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless」と共用になる

AMBEOの効果は3つのプリセットから選択できるほか、イコライザーでカスタマイズも可能

AMBEOがオンの時にステレオ2ch、または5.1chのサラウンド音源が入力されると設定を最適化した立体サウンドにアップミックスされる。

入力の名称を「リビングのUHD BDプレーヤー」などアプリから任意に設定できる

■サラウンドだけでなくピュアオーディオもバランス良く再現できる

IFA GPCの会場にゼンハイザーが用意したデモルームでAMBEO Soundbarの音を体験した。ドイツのサッカーのプロリーグであるブンデスリーガのテレビ放送、映画に音楽ライブの映像など複数のコンテンツを、AMBEOのオン・オフを切り替えながら聴き比べた。

IFA GPC 2019の会場に設けられたゼンハイザーのデモブース

オブジェクトベースの立体サウンドの効果はとても明快だ。広がりがとても豊かで解像度も高い。細かな効果音の粒立ちが極めて鮮明だ。縦横方向に音が伸びやかに満たされる。サッカーの映像はスタジアムの臨場感が見事に再現できていた。音楽ライブはとにかくボーカルの鮮度が高く、強い存在感が迫ってくる。

サッカーや音楽ライブ、映画などのデモンストレーションを体験できた

いくつかのコンテンツを視聴した印象は、繊細で潤いのあるハイトーンの再現力と肉厚なミドルレンジに比べると、低音のバランスはもう少し厚みがあってもよいと感じた。ゼンハイザーのCremering氏は「AMBEO Soundbarではサラウンド系コンテンツだけでなく、ピュアなオーディオソースもバランス良く再現できる“つぶしの効くスピーカーシステム”を意識した」からであるという。音のバランスは低音の増強も含めてアプリに搭載するイコライザーを使って微調整ができるほか、サブウーファーをシステムに追加することで補えるとCremering氏も説明している。

ゼンハイザーが2015年にAMBEOの前身となる「Sennheiser 3D Immersive Audio」を発表し、2016年初のCESに「AMBEO」として披露した当時(関連ニュース)は、まだ一体型サウンドバーがなかったため、9.1chのスピーカー環境でデモンストレーションを行っていた。あれから3年が経ち、独自のオブジェクトベースの立体音響技術が、いよいよ家庭で楽しめるようになる。

■「AMBEO Soundbarでしか味わえないリアルなサラウンドを多くの方々に体験して欲しい」

AMBEOはマイクの設置・設定からソース収録のノウハウ、あるいはオブジェクトベースとチャンネルベースにも対応するアルゴリズムまで、全てゼンハイザーが独自に開発したプラットフォームの総称だ。Cremeringは「ゼンハイザーはVR/ARのコンテンツ、立体音響を使ったスポーツ、音楽コンテンツの全盛期に備えて、2013年から2014年ごろに新規プロジェクトとして、独自の立体音響技術のプラットフォームを立ち上げた。当時私を含めて10人の専任スタッフが配置された。以後、第1弾の製品としてAMBEO VR MICを発売。スマホとの組み合わせでバイノーラル録音が楽しめるAMBEO Smart Headsetなどを発売してきた。この新しいサウンドバーがAMBEOを搭載する4つめの製品になる」と、これまでの歩みを振り返る。

AMBEO SoundbarはAVアンプやサウンドバーに採用が広がるドルビーアトモスとDTS:X、そして今後の将来性が期待されているオープンフォーマットのMPEG-H 3D Audioをサポートした。その背景についてはCremering氏が次のように語っている。

「ワンボックスのサウンドバーを商品化する企画が立ち上がったのは今から約3年前。最初はゼンハイザーがAMBEO対応機器だけで楽しめるエクスクルーシブなコンテンツを制作することも検討されたが、ユーザーにとってのベネフィットを優先して、MPEG-H 3D Audioを含むオープンなコーデックをサポートすることに決定した」(Cremering氏)

AMBEOシリーズのサウンドバーを商品化することが決まってから、スピーカー構成は様々なパターンを試した結果、AMBEO Soundbarの最終仕様となる5.1.4チャンネルのセットアップがホーム用としてベストであるという判断に至ったそうだ。昨今のサウンドバーとしては本体のボリューム感がある製品だが、Cremering氏は「ゼンハイザーのAMBEOが理想とするベストなサラウンド体験を提供するために13基のスピーカーユニットと、これをドライブする強力なアンプ、堅牢なシャーシが必要だった」と説いている。本機の発売後の反響を見ながらバリエーションの展開も検討する用意があるという。

Cremering氏は、ソニーが発表した360 Reality Audioも含めて、AMBEO Soundbarによって楽しめるオブジェクトベースの空間音響技術を活用したコンテンツが今後続々と増えてくるだろうと期待を寄せる。ゼンハイザーでは特にスポーツ系コンテンツがその牽引役を担うと考えており、4月上旬にラスベガスで開催された国際放送機器展「2019 NAB Show」ではノイマンとともにAMBEOシリーズの新たな展開として、50基のマイクとビームフォーミング技術による立体音響の収録技術「AMBEO Sports Microphone Array for 360° sound」のプロトタイプを紹介した。

NAB2019で発表した360度立体音響の音声収録システム「AMBEO Sports Microphone Array for 360° sound」のコンセプト

「もちろんハリウッドの映画、音楽ライブも含めて、AMBEO Soundbarでしか味わえないリアルなサラウンドを多くの方々に体験して欲しい。私たちも間近に控える発売が楽しみで仕方がない」とCremering氏は意気込みを語ってくれた。

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