独自の立体音響技術「AMBEO」も体験

<CES>ゼンハイザー「HD 800 S」の変更点を同社幹部が説明。「HD 800」とも比較試聴

山本 敦
2016年01月08日

賑わうゼンハイザーのブース
CESのメイン会場であるラスベガス・コンベンション・センターに出展するゼンハイザーが、間もなく日本国内でも発売されるフラグシップ「HD 800 S」や最新の立体音響技術を展示している。それぞれを体験してみた。


HD 800 S
本機はプレミアムヘッドホンの銘機として語り継がれているゼンハイザー「HD 800」と並ぶフラグシップモデルとして、ラインナップに新しく加わる。本機の発売後も「HD 800」の販売は継続する。本体のケーブルは着脱式で、HD 800 Sには4pinシングルタイプのXLRバランスコネクターを採用する3mのケーブルが同梱される。

外観のフィニッシュがブラックになったほか、デザインの点で目立った変更はないが、本機は「HD 800」のブラックモデルではない。どんな所が変わっているのか、ゼンハイザー本社でハイエンドヘッドホンの事業部門を統括するモーリス・クアレ氏に訊ねた。


ゼンハイザーのモーリス・クアレ氏
「本機はHD 800のユーザーやファンから寄せられた声を元に、新たなコンセプトで音質をチューニングしたバリエーションモデルです。大きな変更点は2つあり、ひとつはHD 800と比べて低域の再生バランスを強化しています。もうひとつはHD 800の場合、4〜4.5kHzのあたりに残っていたピークを、IE 800ではじめて採用した『Helmholtz Resonator』と呼ばれるアコースティックパーツを内部に追加することで取り除いています」。

それぞれの効果により、音場感もさらに豊かになっているという。会場で「HD 800 S」と「HD 800」を並べて聴き比べることができた。クアレ氏が語るとおり、低域を中心とした全体の音のインプレッションがかなり変わっている。中低域全体の音像にメリハリが出て存在感が前に押し出されてくる。HD 800の上品で繊細なイメージに対して、HD 800 Sはストレートで力強い印象だ。音場の広がり感と立体感は同じ高いレベルにありながら、HD 800 Sはより重心が低く安定したサウンドにチューニングされている。

HD 800 S(左)とHD 800(右)のサウンドを聴き比べることができた

ブースではゼンハイザーがいま最も力を入れて開発を進める立体音響技術のデモンストレーションも体験できた。昨秋までは「Sennheiser 3D Immersive Audio」と呼ばれていたもので、昨年末に「AMBEO(アンビオ)」というコミュニケーションネームが冠されたばかりだ。

ゼンハイザーが独自に開発した立体音響技術「AMBEO」

会場に設置された特設ブースには9.1chのスピーカー環境が用意され、AMBEOの技術によりネイティブ収録されたサラウンド音源や、一般的な2chステレオ音源から9.1chへアップミックスした音源によるサラウンドが体験できた。AMBEOはマイキングからのソース収録のノウハウ、あるいはオブジェクトベースとチャンネルベースにも対応するアルゴリズムまで全てゼンハイザーが独自に開発してきた技術だ。デモを体験してみると、音の鮮やかさと濃厚さに加え、人の声の自然な再現など徹底追求されたリアリティの凄みが肌で感じられる。特設されたシアタールムでデモを体験した10人前後の参加者からは口々に驚きの声があがっていたほどだった。

デモルームには9.1chのスピーカーを設置

ゼンハイザーが製作したネイティブAMBEOソースを試聴

ゼンハイザーでは今後「AMBEO Pioneer Kit」とよぶ専用プロセッサー、9.1chスピーカー、測定サービスをパッケージ化し、体験の機会を増やしながらAMBEOの魅力をアピールしていく。

ゼンハイザーのクリスチャン・アーン氏

ゼンハイザーのワイヤレスヘッドホンやMomentumシリーズの開発を担当するクリスチャン・アーン氏の説明によれば、今後は同社のサラウンドヘッドホンに展開していく可能性も考えられるという。会場ではAMBEOの技術を応用した、ヘッドホンによるバーチャルサラウンドの試作技術も体験することができた。VR対応のヘッドマウントディスプレイやゲームコンテンツの人気拡大に足並みを揃えながら、独自の立体音響技術をアピールしていく狙いもあるようだ。

AMBEOの技術を応用したバーチャルサラウンドヘッドホンの技術を体験する筆者

世界的なプレミアムヘッドホンブランドという立場に安住することなく、次世代のオーディオ技術にも積極果敢に挑戦するゼンハイザーの意気込みが感じられる展示内容だった。

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