NHK、「ダーウィンが来た!」など4Kコンテンツ制作を訴求 − 8Kも視野に入れた取り組み語る

ファイル・ウェブ編集部
2014年03月27日
NHKは本日、同社の4Kコンテンツ制作に関する説明会を開催した。


まず登場した同社編成局計画管理部 黄木紀之部長が挨拶。4Kは今年7月から試験放送がスタートすることになっているが、まだ多くの視聴者が見られるような環境は整っていない。そのような状況のなか4Kコンテンツ制作に取り組んでいる狙いについては、黄木氏は「4Kコンテンツの国際展開力」「8Kに向けてのノウハウ蓄積」のふたつを挙げる。

NHK 黄木紀之氏

「現在フル4K制作を行っている番組は『ダーウィンが来た!生きもの新伝説』などNHKのフラグシップ番組ばかり。こうした番組は4Kコンテンツとして世界に通用するものだし、国際競争力の強化につながると考えている」と語る黄木氏。2020年の東京オリンピックに向け、日本を世界にアピールするドキュメンタリー等も4Kで撮影する予定だという。

さらに「4Kの次は8Kの時代が来る。現段階では8Kカメラはごく限られたモデルしか存在しないので、4K制作で撮影や編集などのノウハウを蓄積していくことで、高精細映像表現の可能性を追求していきたい」と続けた。


説明会では「ダーウィンが来た!生きもの新伝説〜歩いて冬眠!? ホッキョクグマの秘策〜」「人体・ミクロの大冒険」(「月の魔法が命をよぶ グレートバリアリーフ大産卵」「桜ほうさら」の4タイトルについて、4K映像の予告編や本編の一部が上映された。なお、いずれの番組も放送時は通常の2K映像。

「ダーウィンが来た!生きもの新伝説〜歩いて冬眠!? ホッキョクグマの秘策〜」(放送:NHK総合/4月6日 19:30〜19:58)は、同番組として初めて4K撮影した回となる。菊池哲理プロデューサーによると、氷点下20度を下回る過酷な撮影環境だったとのこと。自然番組のロケは通常2名(プロデューサー、カメラマン)で行うことが多いが、初4K撮影のため、今回はビデオエンジニアも加えた3名で行った。


「ダーウィンが来た!生きもの新伝説〜歩いて冬眠!? ホッキョクグマの秘策〜」
撮影はソニー製4Kカメラ「PMW-F55」でXAVCフォーマットにて実施。レンズは4Kカメラ用のフジノンZK4.7とZK3.5をメインに、一部HD用のレンズも使用した。被写体をコントロールできない自然番組の場合、どうしても被写体が遠くにいる場合などは2K用レンズを使わざるを得ないためだという。撮影した映像は4Kモニターでピント等を確認しながら進めていったとのことだ。

「4Kで撮ると、ホッキョクグマの毛並みの質感が、目の前にいるかのような臨場感で楽しめる。雪と氷、白いホッキョクグマという白一色の世界だが、4Kで見てみると、同じ白でトーンの微妙な違いや奥行きまでがくっきりと感じとれると思う」と語る菊池プロデューサー。実際見てみると、日の光を受けてきらめくサラサラのパウダースノーの一粒一粒がくっきりと描き出され、雪の中で寝転ぶホッキョクグマの毛並みのふわふわ感が伝わってきた。


「月の魔法が命をよぶ グレートバリアリーフ大産卵」は3月15日にBSプレミアムで放送された番組。世界中で話題になった「ダイオウイカ」制作チームが、月の満ち欠けが影響するというウミガメやサンゴの大産卵などのダイナミックな映像を4Kカメラで撮影した。水中/地上では「PMW-F55」、空撮はRED ONE、一部GoProなど4K撮影できる機材を、状況に応じて使い分けたとのこと。30pをベースに、動きの速いものは60pで撮影したという。

「月の魔法が命をよぶ グレートバリアリーフ大産卵」

特に水中での撮影は、「PMW-F55」の最高画質となるRAWフォーマットで実施。水中は光の具合が地上と違うため撮影が難しいのだそう。しかし今回はRAW映像をもとに、最新ポスプロ技術を駆使。肉眼で見たときのような海中の豊かな色彩を再現したという。実際、よく見る水中撮影映像は全体的にくすんだ青みがかったトーンになっていることが多いが、今回の映像は色とりどりのサンゴや極彩色の魚が真っ青な海のなかを泳ぎ、目の覚めるような美しさだった。

撮影のようす


「人体・ミクロの大冒険」(放送:NHK総合/全4回<3/29、3/30、4/5、4/6>)は、人間の体内のようすを4K CGを多用して再現しているのが見どころ。ほぼフルCGだが、カメラ撮影パートはソニー製の「PMW-F55」を使いS-Logフォーマットで記録。CGや接写映像については特殊に開発したものを使ったという。

「人体・ミクロの大冒険」


制作期間はおよそ半年。「NHK初の本格的な4K CG制作ということで、思いっきり力を入れてつくった」(高間プロデューサー)のだそう。最新のバイオイメージング技術による実写映像をもとにつくられた4K CGには、番組の案内役をつとめた山中伸弥教授も「ここまでリアルな映像というのは初めて見ました」と感動していたという。


「桜ほうさら」は、今年1月1日にNHK総合で放送された宮部みゆき原作の時代劇。フィクションの世界における4K表現追究を目指したコンテンツだという。

正月時代劇「桜ほうさら」

撮影のようす

4Kカメラにはこちらも「PMW-F55」を使い、30pのS-Logフォーマットで記録。「ドキュメンタリーなどは60pで、ドラマなどテイストが大事になるものは30pで制作するのが良いと考えている」とのこと。

2Kドラマ制作といちばん違うのは「カメラワーク」。情報量が多いため、細かいシーン切り換えが多すぎると、視聴者の目がついていかなくなってしまうのだという。

また、今後の課題は画づくりや演出方法。そもそも4Kコンテンツは放送/放映どちらを前提にするのかまだ分からないので、視聴者がだいたいどのくらいの画面サイズで見るのかが想定できず、一画面にどのくらいの情報量を入れたらいいかという判断が難しかったそう。

この議論はSDからHDになる時にも同様にあったとのこと。編成局編成センターの長野真一副部長は「HDで撮るときはしっかり引きで見せた方がいいのでは、などと言われたときもあった。しかし視聴者の目は、時代とともに進化していっている。我々はそれにあわせた演出を行っていく考えだ」と語っていた。

NHK 長野真一氏

NHKは今後も4Kコンテンツ制作を進めていく予定。2015年にはドラマ(5本程度)やドキュメンタリーなど、多岐にわたるジャンルのコンテンツを作る予定。「いろいろな種類の番組でトライし、ノウハウを貯めていきたい」(長野副部長)という。また今後は、放送以外のかたちで提供される4Kコンテンツの制作にも対応する体制を整えていきたいとのことだ。

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