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なぜ映画ファンにかくも愛されるのか

話題のソフトを“Wooo”で観る − 第17回『ゴッドファーザー』シリーズ(BD-BOX)

公開日 2008/11/18 18:57 大橋伸太郎
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■最も映画的、娯楽的な題材を使って、人間社会に付きまとう宿命を描いた

G.F.以前にもフィルムノワールは沢山存在したが、マフィアという裏社会そのものを描いた映画はなかった。ユダヤ系マフィア(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』)、アイルランド系マフィア(『ディパーテッド』)まで、今ならマフィア映画はゴマンとあるが、G.F.は当時の映画界のタブーを侵すことで、善良な市民の「もう一つのアメリカ」に対する好奇心に応えた。『バラキ』、『コーザ・ノストラ』、G.F.を機にマフィア映画は続々と作られるようになる。

しかし、もし、G.F.がマフィアをリアルに描いた実録風映画だったら、世界中でヒットもせず、時代を超えてアメリカ人の一番好きな映画にもならなかった。映画館に詰め掛けた善良なる市民を待っていたのは、家長と家族の歴史を描いた堂々たる風格の大河ドラマだった。こうして、G.F.は観客の心を掴んでしまったのである。

G.F.第一作(1972)は、イタリア系ファミリーの頂点に君臨したヴィト・コルレオーネの威勢に影が差し、銃撃事件を経て三男マイケルが首領の座に着くまでを描く。

G.F.PART.II(1974)は、死屍累々たるマフィア残酷物語の上にマイケルの強大な権力が築かれていく様を描くと同時に、コルレオーネ・ファミリー誕生物語を描く。G.F.PARTIII(1990)は、マフィア組織についての公聴会が米議会で開かれるなど、社会の環境が変わっていく中で、実兄殺しの十字架を背負ったマイケルと衰退の道を歩むファミリーを描いている。

最も映画的、娯楽的な題材を使って、人間社会に付きまとう宿命を描いた映画がG.F.だが、名作へ最後の決め手になったのは、監督のフランシス・フォード・コッポラが全3部作を貫く映像スタイルの創造に成功したからである。コッポラ自身の監修による待望のブルーレイディスクがこの程、日本でも発売された。36年の歳月によるフィルムの曇りを洗い流したような素晴らしい出来である。今回の「Woooで見る最新ソフト」は、G.F.を題材にする。

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